テラーノベル
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玉座の間の外にて。
「まずは負のエネルギーの逆流を止める事が最優先事項でしょうね。まぁ最優先にして元凶ですのでそれができたら全て解決なわけなんですが……」
ブラックがチラリとリデルを見るとリデルは
「分かってたら苦労しないわ」
とあっさり切って捨てた。
「まぁ、でしょうね」
「私達にだって負のエネルギーの暴走は予想外ですわ。確かにトアール様が負のエネルギーを持つほど辛い過去をお持ちなのも、それを想起させたのも私達ですけど暴走なんて望んでおりませんもの」
リデルはあくまでも冷静に答える。きっとこの冷静さで今までコルテージュを仕切ってきたのだろう。
「銀さんを止めるにはまずは銀さんに近づく必要がありますね。ですが不用意に近付けばまた飛ばされるでしょう。ですので……」
ブラックはスッとその人物を指す。
「レッド、ブルー。行けますか?」
「……あぁ、いいぜ」
「任せとけ!」
二人はしっかりと頷いた。
再び玉座の間に入るとやはりまだ負のエネルギーが暴れ回っていた。
「あれに飛ばされないように素早く近づいて銀さんを止めろって事だな?」
「ええ、そうです。それとすまない先生も回収していただいて良いですか?」
「あ、放置してきたんだった」
緊張感のかけらもない双子だが大丈夫だろうか。しかしブラックは二人を信じて作戦を開始した。
ダッ!
トアールに向かって二人が高速で接近する。
「っ!」
ブルーの矢もレッドのナイフもダークシルバーバリアに呆気なく弾かれる。だがとりあえず負のエネルギーの逆流さえ止められれば今はそれで良い。そしてすまない先生を回収するだけの隙を取れれば良い。しかし
トッ
トアールが後ろに飛んだ。着地したのは気を失ったすまない先生の傍だ。気を失ったすまない先生を片手で抱き止めるように抱え、もう片方の手で傍らに落ちていた草薙剣を拾い首筋に突き付ける。
「「っ……!」」
「……コイツを、殺されたくなければ、今すぐ出て行け……!」
負のエネルギーの奔流が少しおさまった今がチャンスだと分かっては居る。しかしこれ以上近付けばすまない先生が傷付けられる。
「……出て行け、というのが、聞こえなかったか?」
トアールが少しだけ首筋に剣を突き刺す。
「やめろ……っ!」
「……じゃあ出て行け」
「それは出来ない」
トアールは微かに嫌そうな顔をし、
「シルバーアルケミー」
スキルを発動させた。しかし、色はもういつものほとんど白に近い銀だった。
(負のエネルギーを纏わせるのは諦めたか……)
そうは言っても通常状態でもシルバーアルケミーは強力過ぎる。二人揃って吹っ飛ばされる。追い討ちを掛けるかのようにシルバーウォールで部屋の端っこまで飛ばされた。
「……分かったか?」
再びトアールがすまない先生の首に剣を突き刺した。
「「っ……!」」
「最後の警告だ。コイツを殺されたくなければ今すぐ出て行け」
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