テラーノベル
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約束の日曜日、行きは若井のお母さんが車で送ってくれるというので乗せてもらうことにした。
帰りはバスで帰る予定だ。
「元貴おはよ~、天気最高で良かった!」
車で既におっきな浮き輪を持ってうきうきと楽しそうな若井がおもしろい。
「送ってもらってすみません、よろしくお願いします」
若井のお母さんにお礼を言う。
「いいのよ、それよりいつも家にお邪魔しててごめんなさいね。滉斗は大森君のこと大好きだから」
「ちょっ、そんなこと言わないでよ!」
「なによ、いっつも大森君はすごい天才だってうるさいくせに。今日だって楽しみで前日から騒がしいんだから」
「もう、ほんとに黙って・・・はずかしいから!」
「俺は嬉しいけど、若井ってそんなに俺のこと好きだったの?」
俺の歌とか曲とかそういったものを好きでいてくれているんだろう、シンプルに嬉しくてちょっとからかってやる。
「だぁ~もうやめて、なんか汗めちゃ出たかも」
「車内涼しいけど?いや~滉斗くんがそんなに僕のこと好きだったなんて知らなかったですぅ~」
お母さんは運転しながら笑ってるし、若井はとなりで暑いのかTシャツをパタパタしている。
たまには若井がドキドキすればいい。
俺の方がもっと若井のこと好きなんで、知らないだろうから。
到着するとクラスメイト15人くらいが集まっていてもう何人か海に入っている。
思ったより大勢だけど、みんなそれぞれに楽しんでいるようだ。
「元貴、海入ろう!浮き輪もって来たから」
水着を着込んで来ていた俺たちは服を脱いで海に向かう。
俺は日焼けしないようにTシャツを着ているが若井は上半身裸で少し目のやり場に困る。
海は少しぬるく、浮き輪で遠くまで進むと波に揺られて気持ちがいい。
「海さいっこう!・・・なぁ、その浮き輪って二人入れると思う?」
「え、どうだろ・・・あ、浮き輪交代する?」
その瞬間、海に若井が潜ったかと思うと足元から潜り込んできて顔を出す。
「いけそう!あ~楽しい」
浮き輪の中で水着姿の若井が密着して一緒に波に揺れる。
顔も体も近い・・・これはちょっと刺激的すぎる。
けど水に潜って出ることも出来なくて俺はぐるっと回転して背中を向けた。
「ちょっと若井キツイって、俺出るから!」
「元貴が溺れたら困るし、全然きつくないよ、おっきい浮き輪もってきてよかった~」
よいしょっと若井は後ろから抱き着いてくる。
幸いかなり深いところまで行ったので周りに人はほとんどいない。
もう俺は諦めて、背中に若井の熱を感じながら目を閉じて波に揺られることにした。
ずっとこうしていたい。
「ずっとこうしてたいよ・・・めっちゃ気持ちいいね」
耳元で若井がそうつぶやく。
俺もそう思ってた、俺たち絶対相性いいよ、もう付き合おうよ。
本当はそう言いたかった。
コメント
6件
言えない気持ちが切ない⋯⋯。 (。•́ωก̀。)…グス