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クララが寝た隙を見て、私は地下室を出た。
靴も履かず、素足で階段を上がる。冷たい床に触れる度
「生きてる」と思った。
でもそれがだんだん嫌になった。
息が白い、夏のはずなのに、寒い、
いや、寒いのは私の中。
街灯の下を歩く度、誰かの目があるような気がする。
兵士かもしれない。犬を連れた誰かかもしれない。
でも今夜はそれでもいいと思った。
もう逃げるのは疲れた。
誰にも触られたくない。でも、誰にも見つからないのは怖い。
広場に出て、ベンチに座った。 空を見上げたら真ん丸な次か出ていた。それが優しくて、泣きたくなった。
「クララ、ごめんね。」
ほんとはね、クララ、パパ、ママ、
誰かに止めて欲しかった。
「行かないで」と言って欲しかった。