「ただいまー」
「おかえりなさーい」
「おー、やぁ!ジェイホープ、起きたの?」
「こんな時間まで寝てたら夜寝れなくなっちゃうじゃないですか〜」
「それもそっか!……でも、ユンギの膝は借りたままなの?」
「こいつがどかないんすよ」
「ユンギヒョンが言ったんですよ?気が済むまで使ってろって!」
「こんなにどかねぇとは思わねぇだろうが」
僕が起きてから早2時間。何やかんや言いながらも僕が寝た=疲れていると捉えてくれたユンギヒョンは、どうせ痺れているからと膝を借りる事をオッケーしてくれたのだ。それならとことん甘えてやろうと、ユンギヒョンの太腿に頭を預けたまま、携帯をいじったり、テレビを観ていたらこんな時間になってしまったのだ。時が経つのは早いな……
「……ふーん。僕、先にお風呂入っちゃおうかなー。疲れたし」
「今日の風呂当番は?」
「ジミナです」
「あいつやったか?まだやってないんじゃね」
「良いよ、シャワーだけ浴びるから」
「え?でも、外から帰ってきて寒くないですか?ゆっくりあったまった方が…」
「今から洗って、お湯溜めてってなるとまた時間かかるでしょ?休ませてあげようよ」
珍しい…ジンヒョンが一番にお風呂なんて。それならとジミナにカトクを送ろうと思ったら、ジンヒョンから止められた。…眉間に皺が寄ってる…何か、怒ってる…?仕事で何かあったのかな…でも、ただでさえ寒がりなのに、疲れて帰ってきてシャワーだけなんて、僕なら嫌だ。…仕方ない。
「ヒョン、後10分待って下さい」
「だから良いってば」
「僕がやってきますから」
「だから………え?」
「確かに、ジミナ呼ぶのは可哀想ですもんね」
「い、いや…でも、ホバが……」
「僕の当番の時に代わってもらうので大丈夫です。膝借りたせめてものお返しですよ」
「でも……」
「良いですから〜!掃除、好きですし」
「折角休んでたのに……?」
「…じゃあ、お風呂入ったらヒョンと入ろっかな」
「…え?」
「…冗談ですよ!ささ、座ってて下さい!」
…冗談に決まってるじゃん。ありえないって顔しないでよ…分かってたって傷つくじゃんか。つい2時間前にテヒョンアが…なんて話をしたから余計に気持ちが落ちそうなのを慌てて誤魔化してお風呂場へと向かう。こういう時は掃除、掃除!洗剤を撒き、床と浴槽を洗ってから、水で流す。排水溝のネットも変えて…と。…うん、良いだろう。浴槽の栓を閉め、お湯張りのボタンを押せば完了。後は溜まるのを待つだけだ。
「ヒョン、後もうちょっとですからね〜」
「あ…ありがとう…」
「あ。ヒョン、出たら教えて下さい。次入りたいです」
「…え?」
「…え?」
「…い、一緒に入るんじゃないの……?」
「……もう!冗談って言ったじゃないですか!疲れてるんですから、一人でゆっくり入ってきて下さいよ!」
「い、いや…疲れてる、から…せ、背中、くらいは……(小声)」
「?、ごめんなさい、もう一回…」
「…いや!何でもない!分かった、出たら呼ぶね。ありがとう」
「??、はーい」
リビングに顔を出し、一応伝えれば、何故かぎこちない話し方をしてくるジンヒョン。何かモゴモゴと口を動かしているのは分かるが、何を言っているのかは聞こえない。聞き返しても何でもないって言うし……まぁ、何でもないならいっか。もうリビングにいる必要もないし、部屋に戻ってジミナの部屋の掃除でも手伝ってやろうかな……