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episode #4 start
┈
長尾謙杜side
熱が下がって、
体が楽になった日。
久しぶりに、
窓の外をちゃんと見た。
青空。
普通の音。
普通の世界。
——急に、
息が詰まった。
(……外、出たい)
リビングに行くと、
大吾くんが洗い物してた。
「……大吾くん」
「ん? もう大丈夫なん?」
「はい」
「だいぶ」
少し、
言いづらそうに続ける。
「……あの」
「今日」
「うん」
「少しだけ」
「外、出たいです」
——その瞬間。
大吾くんの手、
止まった。
水の音だけがする。
「……無理」
低い声。
「……なんでですか」
「危ないから」
「俺、元気です」
「そういう問題ちゃう」
振り返った顔。
優しいけど、
今まで見たことない目。
「謙杜は」
「外に出たら」
「戻ってこん」
「……決めつけです」
思わず、
強く言ってしまった。
「俺」
「ちゃんと約束します」
「約束は」
「守られへんこともある」
「大吾くん!」
声、
荒くなる。
「それって」
「俺のこと信用してないってことですか」
一瞬、
黙る。
「……信用してる」
「じゃあ!」
「でも」
被せるように。
「それ以上に」
「失うんが怖い」
——空気が、
張りつめる。
「……それ」
「俺の気持ち」
「考えてますか」
胸が、
ぎゅっとなる。
「ここ」
「居心地いいです」
正直に言う。
「でも」
「ずっと閉じ込められてるのは」
「……しんどい」
初めて、
ちゃんと口にした。
大吾くん、
眉、きゅっと寄せて。
「……ごめん」
でも、
すぐ続ける。
「それでも」
「出すわけにはいかん」
——その言葉。
ぷつっと、
何か切れた。
「……じゃあ」
震える声で。
「俺は」
「ここでは」
「大吾くんの都合のええ存在ですか」
「……違う!」
即、
否定。
「そんなふうに思ってへん!」
「じゃあ」
「俺の自由は?」
問いかける。
「……ないんですか」
沈黙。
答えが出ない沈黙。
それが、
一番つらかった。
「……もういいです」
そう言って、
自分の部屋に戻る。
ドア、
閉める。
鍵はない。
でも、
心は閉めた。
ベッドに座って、
膝抱える。
(……言いすぎた)
でも。
(……でも)
——しばらくして。
コンコン。
「……謙杜」
ドア越しの声。
「……今は」
「一人にして」
そう言うと。
「……分かった」
すぐ、
引き下がった。
足音、
遠ざかる。
……その優しさが、
余計に苦しい。
(……好きになりかけてるから)
(……こんな喧嘩になるんや)
胸の奥、
ざわざわしたまま。
夜が、
静かに更けていった。
┈
episode #4 finish
𝐍𝐞𝐱𝐭…❤️💛𓈒 𓏸