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episode #5 start
┈
西畑大吾side
……あかん。
完全に、
やってもうた。
ソファに座ったまま、
動けへん。
謙杜の部屋のドア、
閉まったまま。
(……俺、何言うた)
頭の中で、
さっきのやり取りが何回も流れる。
「外は無理」
「失うんが怖い」
——守りたいだけやのに。
結果、
一番傷つけてる。
「……26にもなって」
膝に肘ついて、
顔覆う。
(20の子に)
(あんな言い方)
胸の奥が、
ぎゅっと潰れる。
気づいたら、
目、熱くなってて。
「……っ」
一粒、
落ちた。
「……あかんやろ」
自分に言い聞かせても、
止まらん。
ぽろぽろ、
落ちる。
(早く謝ればよかった)
(なんで、あんな意地張って)
(嫌われたらどうしよ)
考えれば考えるほど、
涙、増える。
「……俺」
声、
震える。
「……何してんねや」
そのとき。
カチャ。
ドア、
開く音。
「……大吾くん?」
謙杜の声。
慌てて、
顔拭こうとする。
「な、なんでもない」
でも。
遅い。
「……泣いてる?」
——一瞬でバレた。
謙杜、
目、丸くして。
「……え」
次の瞬間、
小走りで近づいてくる。
「ど、どうしたんですか」
「いや」
「ちゃうねん」
無理に笑おうとしたら。
「無理してます」
即、
言われた。
「……顔」
「子供みたいです」
(刺さる)
「……ごめん」
声、
完全に崩れた。
「俺」
「言いすぎた」
「……」
「謙杜が」
「しんどいって言うてるのに」
「俺の怖さ」
「押しつけて」
涙、
また落ちる。
「……嫌われたと思った」
ほんまの本音。
「……出て行かれたら」
「どうしよって」
——次の瞬間。
視界、
急に近くなる。
謙杜、
俺の前に立って。
何も言わずに。
……ぎゅ。
抱きしめられた。
「……」
一瞬、
思考止まる。
「……大吾くん」
謙杜の声、
低くて、落ち着いてて。
「泣かんでください」
背中、
ぽんぽんって叩かれる。
……優しい。
「……年上やのに」
情けなくて、
余計に涙出る。
「26ですよ、俺」
「知ってます」
「……俺が慰められてどうすんねん」
「今は」
一拍。
「泣いてる人を」
「慰めるだけです」
……なんやそれ。
(かっこよ)
顔、
謙杜の肩に押しつけたら。
「……ごめんなさい」
子供みたいな声になる。
「閉じ込めるつもり」
「なかった」
「でも」
「離れる想像したら」
「……怖なって」
謙杜、
少し腕に力入れる。
「……俺も」
「……え」
「閉じ込められるの」
「怖かったです」
正直な声。
「でも」
「大吾くんが」
「ちゃんと向き合ってくれるなら」
そっと、
離れて。
真正面から、
俺を見る。
「……話し合えます」
涙目で、
でも、ちゃんと強い目。
(……あかん)
こんなん。
好きになるに決まってる。
「……ありがとう」
鼻声で言う。
「……大吾くん」
「ん?」
「泣きすぎです」
「……はい」
「子供みたい」
「……はい」
でも、
そのあと。
小さく、
笑ってくれた。
——喧嘩のあと。
俺は初めて、
守るだけやなく。
ちゃんと、委ねてもええんやって
知った気がした。
┈
episode #5 finish
𝐍𝐞𝐱𝐭…❤️💛𓈒 𓏸