『出来ることなら結ばれたかった』
注意書きは第一話をご覧下さい。
水side
僕は水。22歳の一般人。
職業は小説家。なぜこの仕事なのか、みんな気になるだろう。
実は僕は生まれつき体が弱い。運動なんて出来なくて、体育の授業も参加したことがなかった。 入院しかしてこなかった。
入院生活の中でよく本を読んでいた。そこから自分も書きたいと思い、夢になって、叶って、今楽しく仕事をしている。
そんな入院しかしていない僕には青春なんてものはなかった。
たまに部屋の外から学生の声が聞こえてきて、修学旅行とか、体育祭とか、文化祭とか……いろんな行事を楽しそうに喋っていた。
それが羨ましくて。なんで僕はこんな体なんだろって、数えきれないくらい自分の体を恨んだ。
だけど、ずっと恋はしてきた。付き合ったことは無いけれど、好きな人がいて、ずっと片思いしてた。
そして、その思いは今も続いている。
その相手は小さい時からの幼馴染である青くんだ。
青くんとは家が近くて、小さい時から仲が良かった。僕が入院したら毎日のように来てくれて、遊んでくれた。
僕が小説家になりたいって言ったら、俺も水と一緒に水の夢を追いかけたい、なんて言ってくれて今となっては__
ピーンポーン
水「はーい」
ガチャ
青「よっ」
水「いらっしゃい」
僕の編集者になった。
青「最近出した新作、結構人気やで」
水「ほんと?それは嬉しいな」
僕は今結構有名になってきている。今ここを頑張って成功させればもっと有名になれるチャンスだ。
水「青くんがしっかりチェックしてくれてるおかげだよ。ありがとう」
こんな僕でもしっかりアピールはしてる。
ネットとかでみた方法でアピールをしているが、なかなか上手くいかない。
だけど、よくよく考えてみれば水の夢を一緒に追いかけてくれるって…結構脈アリなのでは?
なんて心のかなで考えていると彼から思いがけない言葉が出てきた。
青「…あ、せや水。俺な、彼女出来たんよ」
水「……え?」
か、彼女…?青くんに……?
水「そ、そっか……おめでとう…」
水「因みに……どんな人………?」
青「めっちゃ笑顔が可愛くてな、いい子なんよ」
水「へ、へぇ〜……」
今自分で脈アリかもって考えていたのがバカみたいだ。
青「写真あるけど見る?」
水「い、いや大丈夫」
水「青くんに先越されたな〜……あはは…」
青「……なんかあった?」
青くんに気づかれるくらい僕は酷く動揺していた。
なんなら今ここで告白した方が良いのだろうか。だけどそうしたら今後関わるのが気まづくなってしまう。それだけは避けたい。
青「もしかして、どっか具合悪いか?」
水「いやっ、全然大丈夫…!」
水「元気元気!」
青「ほんまに?ならええけど」
水「……はぁ…」
考えすぎて頭痛くなってきた。
水「……やっぱちょっと具合悪いから部屋で寝るね」
青「ほんまに大丈夫か?」
水「うん、青くんもせっかく来てくれたのにごめんね。好きな時に帰っていいから」
水 ボフンッ
水「…グスッ」
水「…ポロポロ」
今更もう遅い。泣いたってどうにもならない。そんな事はわかってる。だけど、悲しいんだ。苦しいんだ。
ずっと好きだった人に、彼女が出来てしまうのは。
ちょっとくらい泣いたっていいよね。
出来ることなら貴方と結ばれたかったな。
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