コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夜姫「……」
目の前には、血の匂いが染み付いた食事
食べる事なんて本当なら容易い事…
だけれど………
夜姫「……鬼太郎様……この食事の量は……」
食事の量がとんでも無く多い
元々少食の私には、まるで地獄を見ているかの様にも感じてしまう…
鬼太郎「……沢山食べないと…成長しませんよ……?」
愛おしそうな目で私を見つめて来るけれど…
その瞳には…ぐちゃぐちゃのナニカが浮かんでいた
夜姫「………そうですね………では有難く頂きます……」
そう言い私は、箸を手に取り、近くにあった味噌汁に手をつけた
夜姫「……ッ……(ゴホゲホッ」
微かに香る味噌の豊潤な香り…
だけれど鉄の味が味噌の香りを打ち消している
鬼太郎「……また…噎せたンですか…」
夜姫「も、申し訳御座いま…ッ!」
脳内信号が赤に変わる
厭な夢がフラッシュバックする
鬼太郎「……そんなに怯えないで下さい…何もしませんから…」
私を慰める様に落ち着いた口調で言う
夜姫「…はい」
次第に私は落ち着きを取り戻し、近くにあったラムネを数口呑んだ
少し甘い味だけれど後味がスッキリしている
天井の僅かな光を当てれば瓶の中にあるビ-玉が光を浴び、飴細工の様な姿を観せてくれる
夜姫「……素敵です……(ボソッ」
心の中に閉まっておこうと思っていた言葉が口から零れ落ちた
鬼太郎「………そうですね」
鬼太郎様は、少しばかり頬を紅く染め微笑みながら私を見ていた
嗚呼…昔の皆様がお懐かしい…
少しばかりの本音は心に押し留め
少しずつ食事に手をつけていった
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
耳元に懐かしい音色が蘇る
夜姫「……(風が心地良い」
鬼太郎様が食事を頑張って食べた褒美と言って、窓を少しばかり開けてくれた
夜姫「…♪~♩」
少し気分が良く、唄いだしてしまった
暫くし、鬼太郎様が部屋に来た
鬼太郎「……さっきの唄…久しぶりに聴きました…」
夜姫「…お聴きになっていたのですか…」
鬼太郎「はい」
夜姫「…また聴きたくなりましたら何時でも仰って下さいね……また唄いますから」
そう言った瞬間 鬼太郎様の表情が何時もより少しだけ明るくなった
鬼太郎「……はいまた聴かせて貰いますね」
夜姫「…はい …!」
窓は開けられていないのに、風鈴の微かな音が聞こえた気がした