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夜姫「……」

目の前には、血の匂いが染み付いた食事

食べる事なんて本当なら容易い事…

だけれど………

夜姫「……鬼太郎様……この食事の量は……」

食事の量がとんでも無く多い

元々少食の私には、まるで地獄を見ているかの様にも感じてしまう…

鬼太郎「……沢山食べないと…成長しませんよ……?」

愛おしそうな目で私を見つめて来るけれど…

その瞳には…ぐちゃぐちゃのナニカが浮かんでいた

夜姫「………そうですね………では有難く頂きます……」

そう言い私は、箸を手に取り、近くにあった味噌汁に手をつけた

夜姫「……ッ……(ゴホゲホッ」

微かに香る味噌の豊潤な香り…

だけれど鉄の味が味噌の香りを打ち消している

鬼太郎「……また…噎せたンですか…」

夜姫「も、申し訳御座いま…ッ!」

脳内信号が赤に変わる

厭な夢がフラッシュバックする

鬼太郎「……そんなに怯えないで下さい…何もしませんから…」

私を慰める様に落ち着いた口調で言う

夜姫「…はい」

次第に私は落ち着きを取り戻し、近くにあったラムネを数口呑んだ

少し甘い味だけれど後味がスッキリしている

天井の僅かな光を当てれば瓶の中にあるビ-玉が光を浴び、飴細工の様な姿を観せてくれる

夜姫「……素敵です……(ボソッ」

心の中に閉まっておこうと思っていた言葉が口から零れ落ちた

鬼太郎「………そうですね」

鬼太郎様は、少しばかり頬を紅く染め微笑みながら私を見ていた

嗚呼…昔の皆様がお懐かしい…

少しばかりの本音は心に押し留め

少しずつ食事に手をつけていった

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

耳元に懐かしい音色が蘇る

夜姫「……(風が心地良い」

鬼太郎様が食事を頑張って食べた褒美と言って、窓を少しばかり開けてくれた

夜姫「…♪~♩」

少し気分が良く、唄いだしてしまった

暫くし、鬼太郎様が部屋に来た

鬼太郎「……さっきの唄…久しぶりに聴きました…」

夜姫「…お聴きになっていたのですか…」 

鬼太郎「はい」

夜姫「…また聴きたくなりましたら何時でも仰って下さいね……また唄いますから」

そう言った瞬間 鬼太郎様の表情が何時もより少しだけ明るくなった

鬼太郎「……はいまた聴かせて貰いますね」

夜姫「…はい …!」

窓は開けられていないのに、風鈴の微かな音が聞こえた気がした


despair - 黒く濁った心

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