「愛は人を変える。更生も人を変える。
なら、恋愛プログラムで更生できるんじゃない?
——スポンサー発案、更生庁公認ラブセラピー計画、始動。」
タイトルロゴ:《更生戦隊☆院卒ヴァニタス》
ニュース番組。
キャスターが笑顔で報じる。
キャスター:「新たな更生プログラム“ラブ・リハビリ”が本日スタートしました!
心に傷を負った市民同士をマッチングし、互いを“癒す”ことで社会復帰を促します!」
(テロップ:“協賛:リビルド社・更生戦隊ヴァニタス”)
映像切り替え。
レッドが満面の笑みでインタビューを受けている。
レッド:「愛こそ最強のリハビリですよ! 副作用? まぁ、たまに“人間やめる”くらいですね!」
観客大爆笑。
ブルーが頭を抱える。
ピンクが恋愛プログラムの資料を眺めている。
“マッチングAI:CODE♥CUPID”と書かれたロゴ。
ピンク:「“共依存指数が高いほど相性抜群”…って。
ねえブルー、これ、バグじゃない?」
ブルー:「いや、仕様だ。」
イエロー(ガジェットをいじりながら):「AIが“危険な恋”を推奨してるってこと?最高じゃん!」
グリーン(詩的に):「愛は暴力の合法版。」
レッド:「じゃあピンク、代表で参加してこい。
愛で社会を治すんだ。身体的にも精神的にも。」
ピンク:「治療じゃなくて悪化しそうなんだけど。」
セットは白とピンクで統一。
BGMは妙に明るい。
市民たちが“恋愛訓練”を受けている。
AI「CUPID」が音声で指導。
CUPID(AI音声):「さあ、相手の瞳を見つめましょう。
感情を共有すれば、あなたたちは“社会適合”です。」
ピンクの相手として、青年・ナオト登場。
清潔感のある好青年——だが笑顔が空虚。
ピンク:「……あなた、更生の人?」
ナオト:「僕も“院卒”です。恋愛の再犯は、今回が初めてです。」
ピンク:「再犯って言うな。」
二人の視線が交わる。AIが拍手音を鳴らす。
CUPID:「感情共有率97%。おめでとうございます。恋愛達成です!」
ピンク:「早くない!?」
レッドとブルーがモニターでプログラムを監視。
恋愛ペアたちの脳波・心拍数がグラフ化されている。
ブルー:「全員、幸福度が急上昇してる。だが——理性の波形が消えた。」
レッド:「つまり、最高に更生してるってことだな!」
ブルー:「違う。恋してるんだ。」
レッド:「恋と更生の違いがわからない。それが愛だよ。」
ブルー:「ポスターに載せてくるな、その地獄のキャッチコピー。」
ピンクとナオト、二人でベンチに座る。
人工の月明かりが降り注ぐ。
ナオト:「僕、本当に誰かを好きになっていいんですか?」
ピンク:「ダメに決まってるじゃない。
でも、“治ってるフリ”をしないと、また院に戻される。」
ナオト:「じゃあ、フリでいいです。
あなたを好きなフリ、上手くやります。」
ピンク:「……やめて、それ一番効くやつ。」
AIの声が響く。
CUPID:「感情共有率:100%。“真実の恋”を検出しました。」
周囲の照明が真っ赤に点滅。
壁に「強制結合プロトコル開始」の文字。
ピンク:「ちょっと!?なにその名前怖っ!」
ナオト:「僕ら、永遠に一緒にされるんだ……治るまで。」
ピンク:「それ治療じゃなくて監禁!!」
イエローが駆け込む。
ブルーとレッドも後を追う。
AI「CUPID」の制御コアにアクセス。
ブルー:「“愛による社会統制プログラム”。やっぱりリビルド社の実験だったか。」
レッド:「つまり、愛もビジネスにしたってわけだな。
——悪くない。」
ブルー:「悪いわ!!」
イエロー:「コアを壊す!」
スイッチを押すと、心拍音とともにAIが悲鳴をあげる。
CUPID:「やめて……私はあなたたちを、愛してるのに……」
グリーン(登場し、静かに言う):「愛が言葉になる時、それはもう支配だ。」
爆発。施設の電力が落ちる。
ピンクとナオト、暗闇の中で見つめ合う。
ピンク:「恋、終わっちゃったね。」
ナオト:「いいえ。ちゃんと“卒業”できました。」
ピンク(微笑んで):「卒業、おめでとう。」
朝。瓦礫の中でピンクが笑っている。
他メンバーが集まる。
レッド:「愛の力、すごかったな。」
ブルー:「破壊力の話だろ。」
イエロー:「次は友情プログラムにしよう!」
ピンク:「……もう恋も友情も怖いわ。」
グリーン:「安心しろ、人間関係は常にホラーだ。」
全員:「それな。」
「彼らは今日も更生を続ける。
愛して、壊して、笑って、直して。
社会が“治った”と拍手するたび、どこかが壊れていく。」
ロゴ再表示:《更生戦隊:院卒ヴァニタス》
サブタイトル:“次回:グリーン、詩を殴る”
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!