22 ◇何度も連絡が届く
「突然いなくなってビックリしたよ。今実家?」
「うん……。
黙って家を出たのは、そうしないと滉星くんに止められちゃうから
仕方なかったの」
「気持ちが落ち着いたら帰ってくるよね?」
『帰らないよ。そのつもりで出て来たんだもん』
「まだ、分からない……」
『分からない』と言われ、正直ほっとした滉星。
『もう帰らないわ。離婚して……』
と言われるのを何より今の滉星は恐れていた。
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この日から毎日朝と夜に滉星からメールが入るようになる。
ひまりが返事をしない日があっても……そうまるで雨の日も風の日もと
いうような強い意思で一日も欠かさずメールが届く。
本当に夫は私とやり直したいと思ってくれているようだけれど、
だけどダメなのよ。
一度裏切られた人間はもう二度と裏切りをした人間を信じることはできないの。
何か月もこんなことが続くようなら、自分はきちんと胸の内を……
もうあなたを信じることができない、だからこの先の人生を共に歩んでいく
ことは難しいのだと夫に話をしなければいけないと、そのようにひまりは
考えるようになった。