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「馬鹿ね、本当に…… アンタ等四人とも、魔将だっけか? この子達がルキフェルだと思って付いてきた、本気でそう思っていたの? お目出度(めでた)いわね、はぁー」
サタナキアはバッと顔を上げコユキを見つめて言った。
「えっ? ま、まさかっ!」
「そのまさかよ、魔将たちは勿論、配下のレッサーたちだってアンタがルキフェルじゃなくてサタナキアだと判った上で、アンタの命令に従ってきたのよ! 何しろ古参なら一万三千年よ? 判らない方が異常よ異常! 知って尚、アンタを慕ってこの寒々しい地獄の最下層に残ったのよ! ねえ、そうでしょ? アンタ達!」
「そ、そうなのか? 魔将たちよ」
コユキとサタナキアの問い掛けに魔将たちは次々と答えを口にしたのである。
「もももも勿論、し、知っていましたともぉ」
「と、当然じゃないですかぁ!」
「ルキフェル様じゃなくて、えーっと、タサアキナ様? ですよね?」
「あはは、コイツは傑作だ! サ・タ・ナ・キ・ア様を噛んでやがるぅ、あははは」
「はい……」
「ど、どこまでも付いて行きますよ、多分」
「え、アレって偽者だったの? あっ! 勿論翼の方の事ですよ、良く出来てたから……」
「給料は変わらないんですよね?」
なるほど……
コユキは立ち上がり胸を張り捲ってサタナキアに言う。
「ほら御覧なさい! 皆判っていたのよ! アンタがウジウジ考えている間に、この子達はアンタ、サタナキアだけに忠誠を誓って戦い続けていたの! んな事にも気が付かないで配下の心根を疑っているようじゃ『石』と呼ばれても仕方が無いわよ! というか木石よ木石! でしょ?」
「た、確かに…… そ、そうか、皆俺の正体を知っていて、それでも付いて来てくれていたのか…… だと言うのに、俺は、俺は、俺って馬鹿野郎は…… おいっ! お前たち済まなかった! 許して欲しい! お前達の忠誠心を疑ったこの俺のことを! これからは堂々とサタナキアとしてお前たちを率いていく! 付いて来てくれるな!」
「は、はぁ……」
「まぁ、別に」
「了解、サササシサ様」
「サ・タ・ナ・キ・ア様ねっ!」
「いいよ」
「多分」
「良いっすよ偽者でも、あ、翼ですよ」
「給料は変わらないんですよね?」
「お前達ぃーっ!」
ガッシィッ!
小さかったり薄っすらしている自らの忠臣達に駆け寄って、肩を抱き寄せているサタナキアに向けてコユキは言った。
「馬鹿ね、そりゃアタシ達、アスタやバアル、ルキフェルに比べればアンタはまだまだ未熟だわ、魔神なんてカリスマだからね、でも無名だろうが小物だろうがアンタにはこうして慕って応援、力を尽くしてくれる仲間達が居るのよ、十分じゃない! 偶像? 良いじゃないのよ、今はまだ偶像、単なるアイドルでも…… この子達やレッサーと力を合わせて頑張っていればいつか立派なカリスマ、魔神にだってなれるわよ! それまでアイドルとそのヲタとして、力を合わせて頑張んなさいよ、サタン! 良いわね?」
サタナキアはコユキを振り返って嬉しそうに頷いたがその頬は涙に濡れていた。
それを見たコユキは一瞬バレたかと緊張したが、顔を上げたサタナキアが笑っていたので一安心であった。
単純な馬鹿で良かったと心の底から思っていたのだ。
次の瞬間、サタナキアの翼がばらばらに弾けて散った。
ビックリしたコユキは数歩後退り、善悪と並んで眼を見開くのである。
横からバアルが感心したような声を発した。
「へぇ、今ので一枚格が上がったみたいだね、珍しいね」
アスタロトが続いた。
「覚醒、か…… アイツって素直なんだな……」
善悪も思い出した様に加えた。
「ああ、魔神になるやつでござろ、何かを守護する覚悟が決まったって事でござるな、さて、ハダカデバネズミに死者と悪霊、人間と来て今度は何でござろう? 出来れば清潔な奴が良いのでござるが」
無言で見つめるコユキの目には、サタナキアの背から伸びた翼が映る。
が、驚くのはその枚数であった。
なんと六対十二枚である。
左右対称に、上から白鳥、蝙蝠(コウモリ)、アゲハ蝶、猛禽(もうきん)、蜻蛉(とんぼ)、竜それぞれの翼を広げたサタナキアは眩く輝いていた。