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「Hello.仏華」
吉はカバンを持ってるから、買い出しでも頼まれたのかな。
「吉、今日のお泊りの買い出し?」
吉の深海みたいな綺麗な青色の瞳を見つめながら、jeは質問する。
「えぇ。主様は、フランスさんに抱きつかれて身動きができそうになかったので」
ふんわりとした笑顔で吉は幸せそうだった。
「jeのご主人がごめんね」
吉の主、イギリスがjeのご主人に抱きつかれて困ってる様子を想像すると、可笑しくって、可笑しくって、ついつい、笑みが溢れた。
「にしても、颯太がお泊まり会を提案するなんて珍しいよねぇ〜」
颯太の言葉をふと思い出して、そんな事を口にする。
「そうですね。しかも私の家で」
そう話す吉は楽しそうで、幸せそうで、jeも見てて幸せだった。
吉の家、懐かしいなぁ。懐かしいって言うほどでは無いけど、だって、二、三年前にも言ったしね。
そういえば、初めて吉と出会った所も吉の家だったな。まぁ、出会いはちょっと最悪だけど。
「確か、久し振りに家族で集まりたいじゃん!って理由だっけ」
楽しそうに笑いながら颯太の言葉を思い出す。
「本当に、彼はいつでも元気ですよね」
あ、吉が楽しそうに笑ってる。でも、吉の綺麗な深海色の瞳の奥深くには、一瞬だけど、悲しそうな色が見えた。
「では、早く買い出しを終わらせて帰りますか」
それでもすぐに、そんな色は見えなくなった。
「だねぇ〜」
ホッとして、ゆる~くそう答える。吉、昔もかっこよかったけど、今もすんごく格好良い。
「吉、今日ってさ、日本国では、お盆って言って、死者の魂が帰ってくる時期らしいんだ。奥様もヴィシー様も、、、、、、なんてそんな事ないよね」
苦しそうな、悲しそうな、そんな歪んだ声でそういう独り言のように紡いだ言葉。奥様も、ヴィシー様も、帰ってくるなんてこと、無い、よね。それはそれで残念だけど、帰ってきたらそれはそれで、大変だろうな。
その後の買い出しの時は、いつもの“仏華”で、吉を心配させないようにした。
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