テラーノベル
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おはようございます。今日はお昼?にあげてみます。それではどうぞ。
仁人はいつもより早く起きた。
リビングでスマホを開く。
通知の数が異常だった。
画面を見た瞬間、指が止まる。
トレンド上位に自分の名前。
昨夜のバラエティ番組。
切り抜き動画が回っている。
共演者「最近忙しいでしょ?」
仁人「まぁ、そうっすね。」
それだけ。
たったそれだけ。
でも字幕付きで拡散されている。
《感じ悪くない?》
《やる気なさすぎ》
《態度悪》
《期待してたのに残念》
“期待してた”
その言葉が、また重なる。
仁人「……はは」
乾いた笑い。
その時、寝室のドアが開く。
勇斗「何してる」
仁人は咄嗟に画面を伏せる。
勇斗はそれを見逃さない。
勇斗「見せて」
仁人「別に」
勇斗がスマホを取る。
スクロールする。
勇斗の眉が寄る。
勇斗「は?」
スクロール。
記事化。
まとめサイト。
見出しが並ぶ。
【仁人、態度悪すぎと炎上】
勇斗「ふざけんなよ」
仁人「事実じゃん」
勇斗「違うだろ」
仁人「疲れてたのは事実」
勇斗「それとこれとは別だろ」
勇斗の声が強くなる。
仁人は静かだ。
仁人「昨日もさ」
勇斗の動きが止まる。
仁人「期待してたって言われたばっかなんだよ」
勇斗は何も言えない。
仁人「なんか、笑うよな」
笑ってない。
スマホが震える。
勇斗が画面を見る。
“マネージャー”
勇斗「出るな」
仁人「出ないと」
電話を取る。
仁人「はい」
数秒、相手の声を聞く。
仁人「……はい」
表情が少しずつ消えていく。
勇斗は見ていることしかできない。
仁人「謝罪文、ですか」
勇斗の拳が握られる。
仁人「わかりました。確認して送ってください」
電話が切れる。
静寂。
勇斗「出すのか」
仁人「出すしかないでしょ」
勇斗「悪くないのに」
仁人「そう見えたなら俺の責任」
またその言葉。
勇斗「納得してんのかよ」
仁人「してないよ」
初めて少し強い声。
仁人「でも、俺がちゃんとしてれば起きなかった」
勇斗「——」
言い返したい。
でも、昨日何も言えなかった自分が頭をよぎる。
勇斗は苛立ちでスマホを握る。
勇斗「俺が書く」
仁人「やめて」
即答。
仁人「俺の問題」
勇斗「俺の問題でもある」
仁人「ない」
その一言が、刺さる。
沈黙。
仁人はソファに座る。
スマホを見つめる。
画面は真っ白な謝罪文の下書き。
指が動かない。
勇斗はその横に立ったまま。
怒りと無力さが混ざる。
仁人「……なんかさ」
小さく呟く。
仁人「もう、何言ってもダメな気がする」
まだ泣かない。
でも、目は赤い。
勇斗は何か言おうとする。
でも、言葉が出ない。
リビングの空気が重い。
外は普通に朝なのに。
ED
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