短編集

緑色さんが弱ってます

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md視点

ﾋﾟｶｯ…

…窓から見えるのは雨模様

しかもとってもざーざーしてる

らだおくん、早く帰ってきてよ

ﾋｭｯ

雷の落ちる音と共に、一人きりの静かな部屋で、俺の呼吸の音が響く

いくら経っても、慣れないなぁ

らだお、くん。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その日は、雨だった

それも、雷が落ちるような酷い空

俺のお父さんは俺にも、お母さんにも手を出すような人だった

それにずっとずっと苦しめられて、

ある日

「ｵｶｱ、ｻﾝ？」

俺がどれだけ呼んでも、届かない

お母さん、

なんで俺を置いてったの？

「ごめんなさい。けど、あなたのせいなのよ」

…ねぇ、お母さん。あの時俺がお母さんを庇えてたら俺を捨てずに済みましたか？

あの時、俺がもっと強かったら、俺に謝らずにいれましたか？

ねぇ、お母さん。俺の思いも、願いも、どうして受け取ってくれなかったの？

でも、そんなことを言う間もなく去っていって

雨に濡れながら、雷の音に耐えながら、

他の子供が通った時には虐げられ

雷と共にフラッシュバックするこの記憶

今でも鮮明に思い出せる、醜い記憶

だから俺は、あめがきらい

そんなとき、俺に光をくれた人

らだおくん

「…ねぇ、行くとこないならおいでよ」

よく考えたら誘拐かもしれなかったけど、俺の唯一のひーろーだったの

光が差し込んだ、その日は晴れ

だから俺は、はれがすき

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rd視点

用事で朝から出かけていると、外が暗くなっていき、雨が降り出した

やばいやばい、みどりが…なんて考えていると外はいきなり光り、雷が落ちた

…用事なんてどうでもいい

みどり、大丈夫じゃないよね

まってて、いますぐ

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md視点

ベッドに行き、膝を持ち丸まりながら寝転ぶ

布団を被り、できる限り音が聞こえないように

『あんたのせいで！』

いたい、いたい。ごめんなさいおかあさん、おとうさん

またひとつ、雷が落ちる

フラッシュバックの波に飲み込まれそうになっているけれど、俺には光がある

『みどり！』

おれのひーろー。

今にも消えかかりそうな意識の糸を引っ張りながら、耐え続ける

頭で響き渡るお母さんの声を聞かないように、らだおくんの声を思い出して

「ﾗﾀﾞｵ…」

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rd視点

はぁっ…息切れ辛い…

とにかくがむしゃらに走って帰る

ふーっ…やっと家

ｶﾞﾁｬ

「みどり…！！」

みどりの寝室に急いで行き、声をかける

布団が膨らんでいたのでそこに優しく触れ、呼びかけ続ける

「ﾗﾀﾞｵ…？」

辛そうな表情で、涙の跡がついている

「みどりっ…不安にさせてごめん。俺が守るっていったのに…！」

「ﾗﾀﾞｵ…俺、頑張ｯﾀﾉ…偉ｲ…？ 」

まだ辛そうで、無理してるような顔なのに、そんなの、ずるい

「とっても偉いよ。みどりはよく頑張った」

「ﾃﾞｼｮ！…雷ﾉ音ｶﾞ聞ｺｴﾅｲﾖｳﾆ、ｷﾞｭｯﾃｼﾃ？」

やっぱり、まだトラウマは改善してない

けど、悪化もしてない

ぎゅっと優しく抱きしめ、みどりに愛を囁いていく

ごめんね、守れなくて

ありがとう、待っててくれて

大好き

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md視点

らだおくんが帰ってきてから、すっごく楽

らだおくんの匂いも、声も、気配も全部安心できる

2人でゆらゆらと揺れながらぽつりぽつりと話していると、いつの間にか外は晴れ模様になっていた

らだおくんが居て、ぽかぽかするお日様

俺を守ってくれて、愛してくれる

俺のひーろーが登場したら、晴れに導いてくれる

俺ははれが好き。天気も好きだけど、1番はらだおくんがいてくれたから

本人には言えないけど、大好きだよ？

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