テラーノベル
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チェックアウト後、近くのカフェで2人でブランチを食べてから翔太は帰って行った
夕方から友達と遊ぶ約束があるらしい
別れ際は少し寂しそうな、それでも満たされたような顔をしていた
連絡先の話題を出してきたのは翔太の方からだった
「蓮さん、いつでも連絡していいって、ほんと?」
片手で俺の服の裾を握り、小首を傾げて上目遣いで聞いてくる
最初はわざとなのかと思ったこの子の可愛すぎる上目遣いは、無意識のものだと一晩でわかった
「うん、ほんとだよ」
ちょっと目に毒なので、頬に手を添えて顔を上げさせる
が、それはそれで、されるがままな無防備な感じがまたグッときてしまう
「じゃあ連絡先、教えて?」
俺の手に顔を預けたままにねだられる
「もちろん」
「やった」
ふわりと花が咲くような笑顔に一瞬クラっとくるが、携帯を出すために翔太が下を向いたおかげで、きゅるんきゅるんの瞳からようやく逃れる
安堵するような寂しいような気持ちだ
翔太のアイコンは人気の白のかわいらしいキャラクターだった
「可愛いね、これ」
「あ、それは、会社の人が似てるって言ってくれて……」
「たしかに、口元とかそっくり」
「………この口?」
ちょっといたずらっ子のように目を輝かせて、口角を強調してみせる
「そうそう笑 ふふ、可愛い」
「んふふ」
頬を撫でて褒めてあげれば満足そうにはにかむ
「約束のデートも誘うからね」
「んっ!楽しみにして待ってる」
漫画とかだったら、顔周りに花が舞ってそうな無邪気な笑顔だ
「じゃあ、気をつけて」
「うん、またね」
最後に頭を撫でてあげて手を振る
翔太は途中、時たま名残惜しそうに振り返りながらも駅の雑踏の中に消えて行った
俺は翔太の姿が見えなくなるまでずっと手を振っていた
翔太の姿がちょうど見えなくなったタイミングで、手に持ったままの携帯が震える
「もしもし?」
「あ、もしもし、目黒。阿部だけど」
「うん、どうしたの?」
「単刀直入に聞くんだけど、昨日お持ち帰りしたんだって?」
「あー、もしかして辰哉くん出勤してた?」
「うん、あの蓮さんが珍しく連れて帰った〜って教えてくれたよ。ずいぶんと美人なんだって?ちょっと危うげな子だから辰哉も気にかけてたらしくて」
「何もしてないよ。あの子が眠くなるまで話して、くっついて寝ただけ。今さっき帰って行った」
阿部は会社の同期だ
新規開拓部署にいる俺とは違って、古くからの付き合いのある大手の担当をする部署にいる
頭が良く、柔和で優しげな雰囲気と対応が人気だが、中身はバリバリの理系で結構男くさい奴だ
あのバーに行った時に偶然鉢合わせて、お互いの性的指向を知ることになってから、仲良くなった
どちらも抱く側だったから俺らの関係が恋愛に発展することはなかったが、お互いの恋愛事情は割と筒抜けだ
阿部はあのバーでバーテンとして働いている辰哉くんと付き合っている
おそらく昨日、俺が翔太を連れて出るところを見かけたのだろう
「そのために連れて帰ったの?」
「見た目が綺麗なだけの子なら興味なかったんだけど、ずいぶん寂しそうな目をしてるのがどうも気になっちゃってさ」
「ふぅん」
「で、ちょっとこれから本気で口説いていくつもりなんだよね」
「へぇ!最近はなかなか人を好きにならないって言ってたのに。目黒を一晩でその気にさせるなんて、気になるなぁ、その子」
「中身が想像以上に可愛いかったんだよね〜。愛してあげたいなって思うような感じで、意外と素直で健気な子でさ〜。今思い出しても可愛い〜」
「うーわ、目黒のそんな声初めて聞いたわ…。じゃあ大丈夫そうだね。辰哉にも言っておく」
「ちょっと心が荒んでるところもあったから、ゆっくりデートから行くつもりだよ」
「あら、優しいことで。ま、頑張ってよ!上手くいったら紹介して」
「そうだね〜。辰哉くんとも気が合いそうだし」
「楽しみにしてるよ。じゃあね」
「うん、じゃ」
電話を切ると翔太からメッセージが来ていた
【蓮さん、昨日はありがとう。俺の我儘叶えてくれてすごく嬉しかった。また会いたいです。デートのお誘い待ってる】
その後に、アイコンと同じキャラクターが、壁からひょこっと覗いてこちらを伺うようなスタンプがついていた
「ふふ、かわいい」
まずはライトに駄菓子屋からかなと、空いている休日の予定を聞くメッセージを送って帰路へとついた
コメント
4件

まさかの! 💚💜💚💜💚💜!!!! 好きなペア来ちゃった🫣
阿部ちゃんきたーーーーー
あー可愛い💕 🖤が冷静なのも💚が抱く側なのも新鮮で楽しみです。