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ある朝彰久が目覚めると、いつもは隣で寝ているはずの鷹矢がいなかった。

一体どこへ行ったのだろうと辺りを見回していると空から鳥が羽ばたくような音が聞こえてくる。見上げると鷹矢が空のから帰ってきたところだったようだ。地面に降り立つ鷹矢に彰久は

「今日はめずらしく早起きをしていたんだな」と微笑ましげに言うと、 鷹矢は彰久に微笑んだ。「うん、今日はちょっと暇だったからな。お前もあれから調子はどうだ?またお前の刀を拝見したいところだ。」「またか…」
彰久は少し苦笑いを浮かべながら、腰に差した刀を指で軽く触れる。「あれを見てどうするつもりだ?」

「いや、ただ気になるだけだ。お前の剣術は確かだが、動きがちょっと固いように見える。」鷹矢が頭を傾けて言うと、彰久はついに立ち上がった。

「分かった、少しだけ試しに相手してやるよ。」
鷹矢はあっという間に空に舞い上がり、その身が風のように軽やかに動きながらも、地上の彰久を見つめていた。

二人は静かな山の中で、戦うわけでもなく、ただ互いの技を見せ合うだけだった。鷹矢が軽く木の枝を使って、彰久を挑発するように斬りかかる。彰久はそれに応じて刀を抜き、反応するが、天狗の機敏さにはなかなか追いつけない。

「うーん、やっぱり速いな、鷹矢。」彰久が息をつきながら呟くと、鷹矢は空から舞い降り、嬉しそうに笑った。

「お前がもっと柔軟に動けるようになったら、もっと面白くなるだろうな。」
鷹矢は手を広げて言った。彰久はその言葉に軽く頷く。

「そのうち、もっと動けるようになるだろう。お前のように、風のように軽やかにはいかないが。」

二人はしばらく無言で見つめ合う。鷹矢はやがて小さくため息をつき、空を見上げる。「なあ、彰久。お前の家はどうなった?」

「家か…」
彰久は少し困った顔をした。「殿は相変わらずだし、家の中はあまり変わっていないよ。でも、俺はここにいる方が落ち着くな。」

鷹矢はその言葉に小さく頷く。「分かるぞ、わしもこの山の中が一番落ち着く。だが、たまには町に出て、景色でも楽しんでみるのも悪くないぞ。」

「それはまた面倒だ。」彰久はまた苦笑いを浮かべた。「お前はいつでも自由でいいよな。」

鷹矢は肩をすくめ、「まあな。でも、お前も少しは自由になれよ。」と軽く言った。二人の間に流れるのは、ただの安らぎの時間だった。どこか懐かしくて、そして、少し未来の約束が交わされたような気がする。

「さて、そろそろ帰るか?」鷹矢が言うと、彰久はしばらく考えてから頷く。

「うん、帰るか。」
そして、二人は並んで歩き出した。天狗と武士、まるで普通の友達のように。

その日も、彼らの何気ない日常は続いていった。


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