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第20章:失われた記録(レコード)
数日後――
ゲズとセレナは、ルシフェルの尖兵との戦いを経て、“とある廃墟”に辿り着いた。
そこは、古代文明の知識が眠る場所――
**「知の神殿」**と呼ばれる、世界でも数少ない禁域のひとつだった。
⸻
【1. 忘れ去られた遺跡】
蔦に覆われた大理石の柱、崩れた天井、そして無数の文字が刻まれた石盤。
セレナ「ここは、かつてルシフェルの軍勢を止めた“星の英雄”が眠る場所……
ウカビルの名が最初に刻まれた場所よ」
ゲズ「ウカビル……本当に、実在したのか?」
セレナ「私たちの一族では“神話”として語られていたわ。
でもここに来て、確信したの――彼は本当に存在した」
セレナは石盤に触れると、微かに文字が浮かび上がった。
【第七使徒“ルシフェル”と対峙した男――ウカビル】
【最初の英雄、最初の犠牲】
【記録者によって、彼の存在は封じられた】
ゲズ「……記録者? どういう意味だ?」
⸻
【2. 隠された真実】
さらに奥へ進むと、大きな石の扉が現れる。
扉の中心には「星の印章」と呼ばれる紋章――それに、セレナが光を注ぐ。
扉が開いた。
そこには、封印された“映像の記録”が浮かび上がった。
その記録は、こう語った――
「かつて、“全てを終わらせる男”が現れた。
彼の名はウカビル。
ひとりで軍勢に挑み、その魂は囚われた」
「しかし彼は、“完全には死ななかった”。
彼の肉体は利用され、記憶は歪められ、名は闇に葬られた」
セレナ「……まさか、ルシフェルが……彼を……」
ゲズ「ウカビルは“今もどこかで、生かされてる”ってことか……」
石の映像が揺れ、最後にこう告げられる。
【“もし英雄の力が再び覚醒したとき”――
“英雄同士が殺し合う”ことになるだろう】
⸻
【3. 揺れる絆】
重い空気の中、セレナはぽつりと呟く。
セレナ「……ゲズ、もしウカビルが……敵として現れたら、どうする?」
ゲズ「……わからねぇ。でも……俺は、過去の伝説より、
目の前の“誰かを守りたい”って気持ちで動く。お前がそうだったように」
セレナの瞳が少し潤む。
ゲズの手が、静かに彼女の手に触れる。
ゲズ「それが間違ってても、俺はお前と一緒に戦いたい。
……これだけは、信じてくれ」
セレナ「……ありがとう。ゲズ……」
二人の距離は、確かにまた一歩、近づいていた。
⸻
【4. 遠くで響く、黒き讃美歌】
そのとき、遺跡の奥に眠っていた何かが“目覚める”。
空間が歪み、黒い渦が生まれる。
――そして、そこに立っていたのは。
長身。漆黒の鎧。
その顔はまだ見えないが、ただならぬ“覇気”だけが伝わる。
「……ようやく、ここまで来たか。
星を継ぐ者よ」
セレナが震える声で呟いた。
セレナ「……あれは……まさか、ウカビル……?」