この作品はいかがでしたか?
0
この作品はいかがでしたか?
0
コメント
1件
※ これは「呪いの始まり」で「2.嘘をついてごまかす。」を選んだ人用の物語です。「1.正直に言う。」を選んだ人や、まだ「呪いの始まり」を読んでいない人は、これを読まないでください。
「ねえ、今日古い神社の方に歩いて行く女の子を見たって近所のおばあさんが言ってたの。そのお婆さんは目が悪いから誰かまでは分らなかったそうだけど、あんたじゃないわよね?」
やばい、美香といっしょに古い神社に行ったのがばれたら、お母さんに怒られちゃう! そう思ってとっさに私は嘘をついた。
「ううん、違うよ?」
「そう、それならいいんだけど……。とにかく、あそこに近づいちゃだめよ」
「わかってるよ! でも、どうして駄目なの?」
「そ、それは……、あそこ、古いからいろいろ壊れていて危ないじゃない? だから、近づいちゃだめなのよ」
「ふーん?」
なんか、お母さん嘘をついている気がするけど……まあいっか。
「それにしても、お父さん今日遅いわね。もうご飯の仕度しちゃおうかしら?」
そんなことを言っていたら、お父さんが帰ってきた。でも、いつもと違い、青い顔をしている。
「おい、美香ちゃんが家に帰ってないらしい。荷物を置いたら、お父さんも村の人たちと探しに行ってくる」
「ええっ、美香ちゃんが? あんた、今日はいっしょに遊ばなかった?」
「遊んだけど、夕方には家に帰って行ったよ」
「ともかく行ってくる」
「気を付けてね!」
そして、お父さんは出て行き、私達2人だけが残された。美香ちゃん、どうしたんだろ。あのあとまっすぐ家に帰らなかったのかな……。なんだか不安になってきた。
お父さんは夜になっても帰ってこなかった。お母さんは先に寝なさいといったので、2階の自分の部屋に行った。けれど、不安で眠れない。美香ちゃん、大丈夫かな……。
そんなことを考えていたら、真夜中、何かが近づいてくるような音が聞こえた、気がした。何か、重いものを引きずるような……。あの音は何だろう?
ひっ、な、何? 突然窓を何かが叩くような音がしたけど……。
「……ねぇ……」
すると、窓の外から女の子の声がした。この声は、美香ちゃん?
「ねぇ、開けて。ここを開けてよ……」
でも、そんなはずはない。美香ちゃんの声は窓のすぐ外で聞こえる。だけどここは2階なんだ。美香ちゃんのはずがない!
私は、何も聞かないよう布団を頭からかぶった。きっと朝になれば何もかも消えているはず。きっと、きっと朝になれば………!
――けれど彼女に朝は訪れなかった。 (Game Over)