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第一章 止めて、止めて、止め続けて
さあ今日こそは、と靴を脱ぎかけたときだった。
??「・・・ッ」
また、先客がいることに気付く。
・・・何度も言うが、本当はどうでもよかった。
先を越されるのがなんとなく癪なだけ。
そうでなければ・・・いけないのだ。
「ねえ、やめなよ」
??「え・・・ッ」
この人も、私に気付いていなかったのか、バッ、とこちらを向いた。
「ねえ、やめなよ。・・・どうして、自殺なんかするの?」
??「あなたに・・・あなたに何がわかるんですか・・・!」
「知らないからだから知りたいと思った。それだけの理由だよ」
??「・・・そうですか」
そう言うと、その人はこちらを真っ直ぐに見つめた。
きれいな水色の髪をポニーテールにまとめ、水色の目をしたその人。
・・・自殺するほど追い込まれた状況にいなければ、さぞモテたことだろう。
だが、ここではそんなの今更なことだ。
るな「はじめまして。るなは水冷 るなといいます。」
「・・・そう。私は雪禰。木葉雪禰。」
るな「るな、クラスでいじめられてるんです。」
「・・・うん」
るな「最初は抵抗できてたんですけど・・・最近は恐怖のほうが勝っちゃって、なんにも言い返せなくて。」
るな「親にも、迷惑かけられないし・・・生きる意味もわかんないし・・・。・・・もういっそのこと、死んじゃおうかなって・・・」
「・・・ッ!!」
怒り。
ただひたすらに、私は怒りを吐き出した。
「・・・・な」
るな「え?」
「ふざけんな!そんなことくらいで私の先を越そうだなんて考えるな!」
「水冷さんには家族がいるんだろ!?迷惑かけたくないって思える家族が、お前にはいるんだろうが!」
「迷惑なんだよ!死なれたほうが・・・親には、家族には迷惑なんだよ!」
「”失った痛み”をずっと感じたまま生きなきゃいけなくて!ずっと、”失うかもしれない恐怖”と闘わなくちゃいけなくて!」
「そんなやつが、死のうとなんてするなよ・・・」
・・・また、やってしまった。
るな「・・・!」
・・・水冷さんは、涙ぐんでいた。
それが悲しみじゃなくて、感謝によるものだってことくらい、私にも分かった。
るな「・・・ありがとうございました。」
るな「・・・雪禰ちゃんも、考え直せるといいですね。」
そう言って、水冷さんも屋上から出ていった。
「・・・私も、親に愛されたままでいたかったな、」
独りぼっちの空間でまた呟く。
・・・今日も、結局は死ねなかったな。