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M.S🦊🎧
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mzybのBLでzmem
ご本人様には一切関係ありません。
地雷の方と意味が分からない方は回れ右
ーーーーー
「今のカレシ独占欲強くってさ〜毎回キスマ大量に付けてくんの!オキニの服着れないからやめてって言ってるのに!もう別れよっかな〜」
真っ昼間の飲食店で聞こえてきた言葉に、動揺して食べかけのバーガーを喉に詰まらせる。
慌てて飲み物をあおって胃に流し込み、ふう、と息を吐いた。
白昼堂々そんな発言が聞こえてくるとは…おじさん今の若者が分からないよ…
自分の職場とて日常的に下ネタの飛び交う場所ではあるものの、恋人とのそういう行為が開けっぴろげに語られる事はない。
ーーーまあ、語ったところで自分にはキスマークなどとというものとは縁がないのだけれど。
何もない自分の首筋をするりと撫でて、今度はため息を吐いた。
彼女いない歴イコール年齢、仲間に春無しと揶揄われる自分ーーエーミールには、どういうわけか恋人がいる。
恋人がいるから春無しではないだろう、と仲間には言ったが、「両方男だから春ではないやろ」と返ってきた。何でやねん。
そんな自分の恋人ーーゾムさんは人外である。いくらシルエットが人間に似ていても人に交じって生活していても人間の自分とセックスができてもやはり彼は人外で、ボウリング玉のような頭についている口は真っ暗な穴だし手袋で作られた「手の形」には爪がない。
つまりはキスマークも爪の跡も残らない、というわけで。
「じゃあエミさん、今日の仕事直接現地行かなあかんから、先に出るな。」
「うん、いってらっしゃい。」
仕事へ行くゾムさんを見送って、自分も身支度を始める。着替えの最中ふと思い立って鏡の前に立ち、首、鎖骨、背中まで確認するが、いつも通り何もない。
爪がないなら指の跡でもついてくれればいいのだけれど、彼の力の加減が上手いのかそれもない。
ーーーそれを寂しい、と思うのは贅沢だろうか。
贅沢なんだろうなぁ。
彼に愛されていることは解っている。力が強いのに跡が残らないほど優しくしてくれているのだし、回数はむしろ多い方で昨日だってあんなに求められ…いや、これ以上はやめよう。そろそろ自分も出勤の時間だ。
思い出して赤くなる顔をあおぎながら手早く準備して出勤する。
「おはようございます。」
「はよぉー」
仕事場の扉を開けると、見るからに徹夜明けのボロボロな大先生がデスクに突っ伏していた。ここ最近はトラブルも無かったから仕事が多いわけでは無かったけれど、おそらく相当仕事を溜め込んでいたのだろう。そういえば昨日トントンさんがキレてたなぁ、なんて思い出していると、いつの間にか顔を上げた大先生が私の方を見ながら何とも言えない顔をしていた。
「…あー、エーミール今日窓口業務やったっけ。」
「そうやね。」
「ゾムとショッピが外回りでトントンが担当のやつ忙しいから…うん、お前今日シャオロンと交代してこっちで事務作業な。シャオロンにも言っといて。」
「なんでェ?前対応した人が書類揃えて今日また来るから窓口のほう行きたいんやけど。」
急な変更に文句を言うけれど、何を言っているんだとでもいうように顔を顰められる。あれ、おかしいの俺の方やっけ?
「その状態でェ?」
「その状態?」
「いやいや、跡べったりついてるやろ。」
「跡?え、なんか付いとる?」
どうにも噛み合わない会話に首を傾げると、大先生は何かを察したように頭をに手を当てた。
「そういや、純人間って分からんかったか…」
純人間とは遡っても先祖に人外のいない人間を指す。大先生は数代前に妖怪がいて、シャオロンさんは人と獣人のハーフ、ショッピくんは鳩を使役する魔術使いの家系でトントンさんとゾムさんは言わずもがな人外。市役所メンバーの中で純人間は自分だけだ。それでたまにすれ違いが起こることもあるのだが、今回もそれだろうか。
珍しく言い淀む大先生の横でガチャリと扉が開いた。
「おはよー」
「シャオロンさん、おはようございます。」
「はよ。お前今日窓口な。」
「え?あー了解。エミさんまたかー」
「??」
出勤直後の急な交代をあっさり了承するシャオロンさんにますます首を傾げる。どうやら彼らにとっては正当なことらしいが、また、と言われることも含めて意味が分からない。
「シャオちゃんシャオちゃん、エーミール‘コレ’分からんらしい。」
「まじ?‘コレ’分かって無かったん?!うわ、ゾム…えぇ〜…」
「な、ドン引きよな。俺これ首突っ込みたくないねんけど。」
「うーん、でも今後のためにも言っといた方がええんとちゃう?」
「せやんな…」
ため息を吐いた大先生がこちらへ向き直る。「今後のため」なんてワードに思わず背筋を伸ばした。
「あのな、今お前…身体の中からゾムの気配してんねん。」
「…はい?」
予想外の言葉に頭の中がハテナで溢れる。
気配???ゾムさんの???身体の中からっていうと…え????まさか…
「付けようと思って相当しつこくやらへんと付かんレベルの気配やで。キスマなんかよりよっぽどタチ悪いわ。」
「エミさん毎回堂々としてるからそういう趣味なんかなって思ってほっといてたんやけど…知らんかったんか…どうりでいつもと変わらん態度だった訳や。」
「てかゾムは確信犯やろ。わざと言わずに跡晒させてるとか牽制以外の何物でもないやん。あいつ独占欲強すぎやでほんまに。」
誰も取らんっちゅーねん!あいつ後でしばいたろうぜと文句を言う二人の顔が見れなくて、ずるずるとしゃがみ込んで顔を覆う。
純人間には分からない、ということは純人間以外には分かるということで。
市役所メンバーは自分を除いて全員純人間ではないわけで。
つまり、
全員に自分達の性事情察されてたァ!!!!
今朝まで跡が残っていないことを寂しがっていたのに実際は人外方式でがっつり付けられていたというわけだ。それも仲間が若干引く程に!
顔から火を吹きそうな自分に頭上から声がかかる。
「そういうわけだから今日はここで事務作業しとき。そんなんで窓口出たら幼気なお嬢さん方が顔真っ赤にしてまうで。」
「…はい。」
とりあえず後でゾムさんに文句を言って跡を隠す方法を聞こう。
でも、きっと自分は跡を付けること自体を止めはしないだろうな、と思った。
コメント
3件
うわああああもうめっちゃ良かった!!😭💕💕 キスマークじゃなくて「気配」で跡をつけるとかゾムさん流石人外すぎる…!しかも本人だけ気づいてないってエーミールかわいすぎん??「全員に性事情バレてた」のくだりで私も一緒に顔から火吹いたわ🔥 最後の「止めはしないだろうな」で全部持ってかれた…独占欲強めゾムさん×純愛なエミさん、尊いにも程があるよ!!続き待ってます!!