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誰も知らない、高嶺の花の裏側2

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誰も知らない、高嶺の花の裏側2

64 - 第64話 〚何もしないという異変〛(全体/恒一の存在)

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2026年02月10日

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誰も知らない、高嶺の花の裏側2


第64話 〚何もしないという異変〛(全体/恒一の存在)


翌週、月曜日。


教室は、いつも通りだった。

チャイムが鳴り、席に着き、朝のホームルームが始まる。


——何も、起きない。


それが、一番おかしかった。


澪は黒板を見つめながら、

何度も胸に意識を向けていた。


(……来ない)


心臓の痛みも、

ざわつく予兆も、

何一つない。


ハロウィンパーティーの後、

予知は一度も現れていなかった。


「おはよ」

海翔がいつも通り声をかける。


「おはよう」

澪も、いつも通り返す。


周りには、えま、しおり、みさと、りあ、玲央。

全員、ちゃんといる。


——なのに。


(安心してるはずなのに……)


澪は、違和感を拭えなかった。



恒一は、教室の隅で静かに座っていた。


話しかけない。

視線も向けない。

存在感を、極端に薄くしている。


誰かに何かを言うこともなく、

誰かの邪魔をすることもない。


ただ、そこにいるだけ。


(……逆に怖くない?)

えまが、小声で言った。


「うん」

しおりが頷く。

「前より、静かすぎる」


りあは一瞬だけ恒一の方を見て、

すぐに目を逸らした。


(……近づかない)


それが、今の彼女の選択だった。



海翔は、澪の様子を横目で見ていた。


いつもなら、

澪は「何か」を感じ取る。


なのに今日は、

ただ、静かすぎる。


(嵐の前みたいだ)


恒一が何もしない。

それが一番、信用できない。


昼休み。


澪たちは机を寄せて話していたが、

恒一は輪に入らない。


スマホも触らない。

誰とも目を合わせない。


ただ、ノートに何かを書いては、

すぐに消している。


(……何もしてないのに、見られてる気がする)


澪は、背中に視線を感じて、

そっと肩をすくめた。


でも、振り返っても——

恒一は、ただ窓の外を見ているだけだった。


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