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別れ際に少し名残惜しそうに手を振る弐十くんを見てやっぱり好きだなって思う。
北海道楽しみだな、弐十くんがスキーとかしているところ見たいし。
きっと、最高にかっこいいから。
いつものロボットみたいな弐十くんのことも、もちろん好きではあるけど、たまに見せる人らしい一面にもっと好きにさせられる。
でも、久しぶりに会った今日の弐十くんは、どっか、おかしかった気がする。痩せたっていうのはもちろん、食事の量が急に減りすぎたこととか、肉全然食べなかったりとか、長袖を着ていたりとか、
一個一個は別にそこまで変じゃないけど、
それに他にも、なんか、どっかおかしかった、
やけに何かを気にしているというか、
少し無理しているように見えるというか、
なんかに怯えている、みたいな?いや、でも弐十くんって怖い者知らずだからなぁ。心霊配信なんかやってるくらいだし、
「弐十ちゃん、なんか元気なさそうだったよね」
「ニキもそう思った?」
「キルちゃんも?」
「まぁね」
今日の主催はニキではなくて実際は俺だ。
最近弐十くんと話せてないのが嫌で、でも実際にそれを伝えるのはダサいかなぁって思ってニキにお願いして声をかけてもらった。
今日のメンバーは弐十くん以外全員俺が弐十くんのことを好きだって知ってる奴ら。いやまぁ、知ってるというよりかは、バレたという方が正しいのだけど。
「ねぇ、シードとせんせーはなんか感じなかった?」
少し前の方で歩いていた2人に声をかける。
「あー、本人も言ってた通り実家で色々あったからとちゃうん?」
せんせーが何かをごまかすように言う。
「うん、俺もそうじゃろうなーって思う、よ?」
シードに至っては声が上ずっているし、何なら、何なら明後日の方向を見ながらもごもごしている。相変わらず嘘が下手すぎる。
「で、本当は?」
2人に改めて聞く。
最初に答えたのはしろせんせーで、
「えー、でも、これ本人に言わんといてって言われたんやけど」
「いいじゃんいいじゃん」
「まー、そんな大したことちゃうしな。あんなぁ、弐十ちゃん今日お化粧しとったんよ。んで、それがキルとシードにバレるのが嫌だったんとちゃう?」
「化粧?弐十くんが?」
「へー、いがーい」
「なー」
「ふーん」
その間、一言も話さないシードに視線を向ける。
「んで、シードは?」
「あー、やっぱバレとるよなー」
「お前、嘘つくの下手すぎんだよ」
「えー、」
コイツ、ごまかせるとでも思っていたのだろうか。あんなにバレバレの態度で。
「ねー、教えてあげてもいいんじゃない?ほら、キルちゃんこんなに弐十ちゃんのこと好きなんだからさ」
「えー、」
「うっざ!」
「でも否定しないんでしょー」
「そりゃ、ほんとのことだからな」
「ひゅー、ひゅー」
こっちにダルがらみしてくるニキを蹴りながらシードの方を見る。
「言わんよ」
「なんで?」
「なんでも、キルくんがどんだけ弐十くんのこと好いとっても、俺からは言えんし……言わんよ」
「あっそ、まぁいいよ」
そんだけ言われてしまえば無理に聞き出すことは難しそうだ。
俺の知らない弐十くんを知っていることにはムカつくが、まぁ許してやるとしよう。弐十くんと一番仲がいいのは俺だし。
「……でも、途中煙草吸いに言った時あったやん?」
「あー、あったね」
「俺らまだ吸えないのに」
「そん時、携帯見て、なんか、ふらふらしとった、ように見えたけ、なんか、やばい連絡でも来とったんじゃない」
炭酸@サイダー
17,342
@無城 # 🎮🐈⬛ .
226
2,037
#ご本人様には関係ありません
「やばい連絡ってなんでよ」
「あー、例えば、家族の誰か倒れたとか何とちゃう?」
「そんな時に飲み来んなよ」
「じゃぁ、妹さんが結婚とか?」
あー、そういえば弐十くんって、妹いたっけな。話を聞くに、なんか、あんま似てない系の、
にしても、
「弐十くんが妹の結婚でうろたえるわけなくない?」
「どんなブラコンだよ」
「いやブラコンじゃなくてシスコンやろ!」
「www、やばいボビー、俺いま素で間違えたわ」
「でも、化粧始めたん妹さんの影響言とったから、そうでもないんとちゃう?」
「弐十くんブラコン説?」
「そーそー」
今度はせんせーにツッコまれなかった。同じボケでは弱かったか、
電車に入ってからは若干声を落としながら、いつも通りの会話を続ける。
全然まだ電車のある時間だったからか、珍しくニキも電車に乗って帰った。
シードとせんせーがおりてから、ニキに唐突に声をかけられる。
「キルは弐十ちゃんのどんなとこが好きなの?」
「えー、言わなきゃダメ?」
「俺、今回結構協力したくない?」
「それは…ありがとね‼」
「おぉ、どういたしまして?」
好きなとこねぇ、
まずは、
「顔?」
「おぉ!直球だね」
あとは、
「俺、一時期さ、めっちゃ登録者減った時あったじゃん?」
「あぁ、あったね」
「そん時、離れないでくれたこととか、」
あの時は辛かった、登録者は勿論、今までつるんでたやつらも一気に離れていったから。配信をしたら登録者が減るのに、配信をしないとお金が入ってこないから配信をしなくちゃいけない。
やってることに対して結果が伴わないことは想像以上に辛かった。
そんなときにアイツは離れないでくれた。俺のことを見捨てずに、そばにいてくれた。
「他にもいろいろ」
「ふーん」
多分考えだしたら切りがない。
いつもニコニコ笑ってるところも好き。”だっはっは”とか”がはは”みたいな改めて文字に起こすと、とんでもない笑い声も好きだし、優し気な歌声も好き。
薄情なところも好き。誰にでも優しいところも好きだし、視聴者ウケ狙ってシルヴァニアファミリーとか買っちゃうようなとこも好き。
弐十くんという人間を構成する全部が好き、どうしようもないくらいに。
生まれて初めて誰かに恋をしたせいで、気が付くのが随分と遅くなってしまったが、ずっと前から好きだったのだと思う。其れこそ初めて会った時から。
家に帰ってかるーく動画のこととかやって眠った。BGMはいつも通り弐十くんの歌ってみたとか。
飲み会で撮った写真を何枚か見たりとか、弐十くんのアーカイブを見たりとか、そんなんことをしながら。
写真の拡大すると、少し、顔色が悪く見えた気がした。
光の加減だろうか?それとも化粧の影響なのだろうか?
久しぶりに弐十くんと話したから、妙にそわそわして、眠んのに随分と時間がかかってしまった。
次の日、少しいつもより早めに目が覚めた。
パソコンを立ち上げて、動画のネタを考える。次は弐十くんメインの奴にしたいんだよな。
使えそうないい感じのアンチコメントがないかとか、企業からの連絡がなんか来てないかを確認する。
「おぉ、」
前に一度、弐十くんと一緒に受けた企業から連絡が来ていた。まぁ、弐十くんのことは勝手に巻き込んだだけだったけど。
是非もう1回案件を受けてくれませんか、的な内容。しかも、もしよければ弐十くんと一緒にやって欲しいらしい。
今回は弐十くんの分のお金も出るとのことだ。前回は弐十くん無給だったし、前回楽しそうだったし、また、受けてもいいかもしれない。
弐十くんもきっと受けるって言うはずだ。アイツ俺に甘いし。
時計を見て時間を確認する。多分、弐十くんはもう起きている時間だ。今日は木曜日じゃないから配信もしてないし早いに越したことはないだろうと、さっそく通話をかける。
プルルル、プルルル、プルルル
————出ない、寝てんのか?
ガチャッ!
出た、
「あ、もしもし弐十くん?」
「——————」
返事がない。
「弐十?」
もう一度名前を呼ぶ。
やっぱり返事がない。
そのまま少しの間、無音の時間が続く。長くね?なんかあった?
よくよく耳を澄ましてみると僅かに、呻き声みたいな、荒い息の音が聞こえる。それと、後ろの方で何人かの笑い声?みたいなのが聞こえる気がする。
外にでもいるのだろうか?
「弐十くん?今外?」
「——ぁ゛、」
ようやく聞こえてきた声は酷くかすれていて、
「弐十くんまた風邪?」
「あ、っい”、まっそ」
言葉が途中で切れる、
その直後、
ギシッ!
何かがきしむような音がした。
電話からは荒い息の音が聞こえてくる。それと今度は明確に笑っている複数人の声。
心臓がバクンッ!と跳ねる。
確か弐十くんは不整脈もちだったはずだ。ここ最近のことは全部、実はそれが悪化したからとか、シードはそれに気が付いて口止めをされたから何も言わなかったのかもしれない。確かに体のことだったら本人の許可なく勝手に話すなんてことできない。
それで今は外で症状が出て動けないのかもしれない。
だったらすぐに助けを呼ばないと。
「弐十くん?弐十くん?大丈夫?今どこ?救急車呼んだ方がいい?」
「だっ、いじょうぶ、だ、よ?い゛っっま、そとだっから、あ゛っ、とで、かけ、なおす、ねぇ゛」
「え、ちょっとまっ」
言い切る前に、すぐ切れてしまった。
え、やばくね?
本人は大丈夫だと言っていたが、その声は苦しそうでとても大丈夫には聞こえなかった。
救急車の番号を押そうとして、指が止まる。
弐十くんが今どこにいるのかが分からない。
それに、本人が大丈夫だって言ってんのに、あんまり深く聞くのもウザくね?
もしかしたら弐十くんに重いとか、メンドクサイとか、思われてしまうかもしれない。そう思うと、指が止まってしまう。
切れた通話履歴を見つめる。
もう一度だけかけようか、指が滑ったとか誤魔化せば何とか、いや流石に嘘すぎんだろ。
じゃぁメッセージなら?
『本当に大丈夫?』
打ち込んで消す、
『何かあった?』
消す、
『迎えに行こうか?』
そこまで打って慌てて消す。
重いにもほどがある。てか、車もないのに何で迎えに行くんだよ。
悩みに悩んで、
『見たら連絡頂戴』
とだけ打って送った。
まぁ、弐十くんも別に自分の限界とか、そういうのが分かんないわけじゃないだろうしなんかあったら言ってくれるでしょ!
それにどうしても気になるなら、かけ直してきた時に聞けばいい。
メッセージの既読はまだつかない。
でもそんなのはいつものことだ。しかも今は出先らしいし。
遅くても2日後くらいには返ってくるでしょ!
弐十くんからの連絡が返ってきたのは5日後だった。
コメント
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第4話読み終わりました!キルくんの弐十くんへの好きが止まらない回でしたね。「離れないでくれたこと」ってところ、すごく響きました。あと電話のシーンの不気味さ…「だっ、いじょうぶ」って声、めちゃくちゃ気になる。5日後ってのも長すぎて、何があったんだろう。続きが待ちきれないです!