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五条悟の右腕は、激しい痛みによって動かすことができなくなり、無限のバリアも解けた。彼の冷徹な目に、ついに一瞬の隙間が現れた。それを見逃すまいと、伊之助と善逸は最期の力を振り絞り、一気に攻撃を仕掛けてきた。
「今だ!」伊之助が叫び、飛び込んでいった。その目は血走り、全身が震えていたが、彼はもう後戻りできなかった。善逸もまた、彼を追って雷のようなスピードで接近し、二人は五条に向かって最終決戦の一撃を放った。
「雷の呼吸・壱の型!」善逸の必死の叫びと共に、彼の刀が閃光のように五条に迫る。一方、伊之助の獣のような攻撃も鋭く、彼の刃が五条を切り裂こうと動いていた。
その瞬間、五条は一瞬だけ目を閉じ、深い呼吸をした。そして、彼の唇がかすかに動く。「やれやれ、もう限界か。」声には疲労と冷ややかな感情が滲み出ていた。
だが、五条は未だ動けると信じていた。右腕の痛み、無限のバリアを張れなくなったこと、そのすべてが彼を追い詰めていた。無敵だった彼が、ついに隙を見せてしまった。
「さよなら、五条悟。」伊之助の獣のような言葉が耳に届くと同時、彼の刀が五条の胸に突き刺さった。善逸の雷霆一閃が五条の横腹を貫く。
「ぐっ…」五条は血を吐き、ついに膝をついた。そのまま地面に崩れ落ちると、彼の瞳は薄れていく。「ああ、負けか…。」
善逸と伊之助はその場で立ち尽くし、五条の倒れた姿を呆然と見つめていた。二人の目には、ただの敗北ではなく、思わぬ終わりがやってきたことへの驚きと、少しの恐怖が浮かんでいた。
「や…やった…」伊之助は、まるで信じられないという表情で呟いた。「ほんとに、五条を倒したのか…?」
「信じられないけど…」善逸もまた目を見開き、動けなかった。
五条悟は無言でその場に倒れ、静かに息を引き取った。その背中からは、もう無限のバリアが放たれることはなく、ただ空気のように静寂が広がった。
そして、最後の瞬間、五条の顔には不敵な微笑みが浮かんでいた。それは、彼が死を覚悟した時でも、決して屈しないという誇り高き意思を示しているかのようだった。まるで、最期まで自分の強さを信じていたかのように。
「さて、これでお前らも…」五条の声はもう届かず、ただその言葉だけが空に消えていった。
伊之助と善逸は、その後に静かに立ち尽くし、戦いが終わったことを信じるのが精一杯だった。倒されたはずの五条悟が、こんな形で彼らに打たれるとは、誰も予想していなかったことだ。
「やった…んだな。」伊之助は息を切らしながら呟いた。
「うん…でも…」善逸は口を開きかけ、彼の表情には混乱が浮かんでいた。「こんなに強かったのに…どうして…。」
「それが五条悟だったんだよ。」伊之助は、どこか静かな声で答えた。
そして、二人は立ち去った。五条悟の死を背にして、静かな夜の闇が彼らを包み込んでいった。