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「やーやむ、にゃむやんやむ」

混乱していると、勇人が指を吸いながら文句を言いだした。

ちょうどいい。

「あの、すみません……どこか小部屋を借りられますか?授乳したいので」

「おやおや。それは気付きませんで……あちらの部屋へどうぞ」

「ありがとうございます。哲人、一緒に来てくれる?知らない場所だし、勇人がちょっと不安になりそうだから」

「分かった」

よしよし。

私たちは、隣の部屋に入って扉を閉めた。

すると、哲人が部屋を見回して口を開いた。

「<魔法隠ぺい><室内は防音><室外からの防音のみ解除><見張り排除>」

なんか、いろいろ魔法を使っている。

要するに、こっそり魔法使って、向こうの音は聞こえてこっちの音は防音、邪魔させずに密談しようってことね。

さすが哲人、分かってる。

私は、そこにあった椅子に座って勇人に授乳し始めた。

「邪栄ちゃん、ステータス覗いていい?」

「うん、勇人と私、二人とも確認して」

「はいよ。<勇人の人物評価>……!!」

哲人が驚いている。

「まさか……俺は、勇人の召喚に巻き込まれたってことか。じゃあ邪栄ちゃんも?」

「うーん。説明するより見てもらった方が早い」

「そう?じゃあ<邪栄の人物評価>……っはぁ?!」

大きな声に、勇人がびっくりして口を離した。

大丈夫、勇人に言ったんじゃないよ。

そっと頭を支えてやると、また飲みだした。

あー可愛い。

「そういうわけだから。多分、何もしないのはマズいかなと」

「マジか……さいきょうマジか……さすが邪栄ちゃ、いや邪栄様」

「うるさい」

勇人に授乳してるから蹴られないと思いやがって。

後で覚えとけ。

「とりあえず、ステータスの隠ぺいとかできないかなぁ。魔王はさすがに隠したい」

「できるんじゃないか?魔法自作可能ってあるし、それっぽくしてみれば」

「うーん、やってみる」

とにかく、私の『魔王様』をなんとかしなくては。

あと、魔法のレベルも多分高すぎるし。

レベルについては、爺さんのセリフから見られるのか分からないけど、万が一ってこともあるし。

隠ぺいというか、ごまかしというか、……むしろ嘘かな。

自作だから、適当な日本語でもいける気がする。

「……<私の人物評価の虚偽><魔法レベル上2桁隠ぺい><称号書き換え、魔導士さん>」

これでいけたかな?

「邪栄ちゃん、ごまかすね……」

「だって、変に目を付けられたくないでしょ。<私の人物評価>」



氏名:竹峰 邪栄

性別:女

年齢:31歳

状態異常:なし

装備:寝間着

魔法:レベル53(隠ぺい:2153)

独自魔法:実現魔法

剣技(短剣):レベル2

体術(蹴り):レベル12

知識:レベル35

称号:魔導士さん(隠ぺい:さいきょうの魔王様)

特記事項:子ども優先、魔法自作可能(、評価虚偽発動中)



「哲人、見てくれる?」

「はいはい。<邪栄の人物評価>」

「どう?」

「……うん、魔法のレベルが53で、称号が魔導士になってる」

どうやら上手くいったらしい。

「よかった。じゃあ、次は勇人ね」

「できそう?」

「うん、大丈夫だと思う。<勇人の人物評価の虚偽><魔法レベル下1桁隠ぺい><剣技レベル上1桁隠ぺい>」

これで、ほかの人にはこんな風に見える。



氏名:竹峰 勇人

性別:男

年齢:0歳

状態異常:なし

装備:着ぐるみの寝間着

魔法:レベル20

独自魔法:天候魔法

剣技(大剣):レベル10

体術(ゆうぱんち):レベル1

知識:レベル1

称号:勇者ちゃん

特記事項:抱っこ推奨、両親(主に母)とセット、魔法と剣技は潜在中のため成長なし、魔法自作可能



称号を書き換えようとしたのだけれど、なぜかできなかった。

ほかの方法があるかもしれないが、ちょっと時間がないので、調べられないことを祈ろう。

勇人は、満足したらしくうとうとしだした。

こんなとこにいるけど、怖がったり泣いたりしなくて良かった。

まぁ、私や哲人が慌てなかったから、勇人も大丈夫だと感じているんだろうけど。

「哲くんのはどうする?」

「そうだな……俺は、スケープゴートになった方が良さそうだから、このままにしとく。一応、聞かれなければ俺が勇者っぽく対応するし」

「ん、分かった。気を付けてね?あとは、いろいろ知りたいことがあるんだけど……あの爺さんたち、答えてくれるかしら」

「うーん……まだ何とも言えないな。いい人的に振る舞いながら、聞き出してみようか」

「じゃあ、私は勇人に危険がないなら夫にお任せしますってゆーいつもの感じで大人しくしとくね」

「え……」

「え?」

あまりにも驚いた表情で私を見やがったので、哲人のお腹をぺちりと蹴ろうとした。

上手いこと避けられたのでもう一回蹴りを繰り出してお尻をぽこんと弾いてやった。

こんなに家族思いの私をなんだと思ってるのかしらね。

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