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日曜日。
お昼過ぎても、健治はぐったりとベッドに眠っている。それもそのはず、先週は毎日深夜の帰宅だった。
せっかく、外は晴れて気持ちの良い陽気で布団を干したいのに、疲れて寝ているのを無理やり起こすのも憚られて、洗濯物を干すだけで我慢する。
掃除機が掛けられないから棚の埃を拭いて、床クリーナーモップで簡単なお掃除。
仕事の内容が変わって忙しいのは分かるけど、やっぱり連日深夜の帰宅だと不安が|過《よ》ぎる。
果歩と別れたと言っていた健治だけど、それが実は嘘で、どこかで会っているのではと疑心暗鬼に囚われてしまう。
健治を信じたいと思っていても、今まで騙されていたという事実が、心に影を落とし、私の心に黒い種を植え付ける。
それは、やがて疑念という黒い花を咲かせ、増殖を繰り返す。
そんな不安を薙ぎ払うように、抱きしめて ”大丈夫だよ” って、言ってもらいたい。
けれど、そんな時間も取れずにすれ違う日々が続いている。
壁の時計が不安の時を刻む。
不安が拭えないまま、気を紛らわせるためにスマホの画面をタップする。
時間つぶしに、馴染みのあるショッピングサイトアプリを開くと、タイムセールやオススメの商品が画面に表示された。
「そろそろスマホのケースを新しくしようかな」
と独り言をつぶやきながら検索を掛ければ、画面にズラリと商品が並ぶ。
今までは、機能性重視で、シンプルなデザインの物を使っていた。
「あっ、これ、可愛いかも……」
この際だからと選んだのは、ピンクの革の生地にお花見をしている猫が縫い取りしている可愛いデザインをカートに入れる。
カートの画面の端に『こちらの商品を買った方は』のオススメが表示された。
ガラスフィルムやGPSカードなどの関連商品に、つい興味が湧き、そちらも見てしまう。我ながらチョロいお客さんだと自分でも思う。
「フィルムは既に貼ってあるから要らないし、後は、GPSカード?」
馴染みのないGPSカードという商品。ちょいちょい聞くけど、実際検索した事など無かった。ちょっとした好奇心で、商品ページへ進む。
表示されたGPSカードは、貴重品の紛失防止用として、スマホと接続するだけで物の位置を表示するという商品だ。
わずか2ミリでクレジットカードと同じサイズと書いてあるのを見て、フッと思いつく。
「もしも、健治のバッグに忍ばせたなら……居場所がわかるのかも」
そんな事をするのは、けして良い事じゃない。けれど、健治の行動がわかれば、自分の中で湧き上がる言いようのない不安を払拭できる。
そう思うと矢も楯もたまらず、ポチッと購入のボタンを押した。