水面に映る僕
この場所は君と最後の夜を過ごした場所
ここに来るのは久方ぶりだ
僕は小さい頃に君を亡くしてから
ここに通い詰めた
決めたよ
僕はここで最後を迎える
今ここでね
もう年寄りになってしまった
君のことを考えすぎたのかもね
でも初恋の君を忘れない人生
悪くなかったよ
君が溺れているところを
僕は見ることしか出来なかった
だけどさ
君はわかってたんだね
僕が泳げないこと
情けないこと
弱虫で泣き虫なこと
全て理解の上での決断だったんだね
ありがとう
君のおかげでここまで来れた
君の瞳も覚えているよ
君は溺死する前にこう僕に言ったね
『月が綺麗だね』
そうだね
あの日のようにこの水面に映る月も
君のあの日の勇気に満ち溢れた瞳も
僕は忘れないよ
来世でまたいつか逢いましょうね
初恋の君にもう一度初心を感じたいな
あーあ溺れ死んじゃう
でも余命も少しだし幸せだったよ
どうか逢えますように
僕の意識は水中に持っていかれるように
安らかに眠った
コメント
3件
凄