【注意】
・☃️がこれまでドラマで演じてきた役が出てきます
・本来のキャラとは口調や性格が異なる場合がありますのでご了承ください
・ドラマのネタバレを含む場合があるかも知れないのでご注意ください
・捏造の物語です
・ご本人様とは関係ありません
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♢ side Yamamoto Teruhisa
次の日になった。俺はいつもより朝早くに通勤へ向かった。
そして、昨日手帳を見つけた場所まで辿り着く。そこには、手帳の青年と同じ制服の高校生が通学している姿を見てとれた。
「(ここに……居るかな、でも、この髪色だったらすぐ分かるし大丈夫だろ。)」
そう思いながら、キョロキョロと辺りを見渡す。
……それから数分後。
「(全然来ねぇな……通学時間もう過ぎんのに……。)」
後5分もすればほとんどの学校はチャイムが鳴る。朝のHRの時間になってしまうのだ。
「……今日は無理か、」
ぽつり、とそう呟いた時。
『……何してんの、お兄さん。』
「!?!、」
背後から突然声を掛けられた。それはもう吃驚して、肩をびくりと思いっ切り揺らした。心臓の鼓動が速いのを感じる。
「え、えっ!?」
思わず後ろを振り向くと。
「……あ、」
『……何?俺の顔に何か付いてる?』
レモン色の髪。爽やかな顔に、右耳のピアス。
「(この子、だ……。)」
『……おにーさーん?』
「っあ!ご、ごめんごめん!ちょうど君を探してたんだよ!」
『……俺を?』
「これ!君のだよね?」
そう言って手帳を手渡す。
『……あー……無くして昨日探してたヤツ。』
「良かった、ここで昨日拾ったから今日待ってたら来るかなーって思って待ってたんだよ。」
『……ありがと、お兄さん。』
「(軽い笑顔まで爽やかとかどういう事……??)」
『……てか、お兄さんサラリーマンだよね。こんな所居ていいの?しかも未成年に普通に話し掛けてるし、不審者だとか思われない?』
「……いやまぁそうだけどさ、手帳渡したかったし……。」
『……ふーん。』
「てか!君の方こそ学校行かなくていいの?もうHRとか時間じゃない??」
『……別に、今日行かなくたって死にはしないし。』
「そ、そうだけど……。」
『……お兄さんは会社行かないの?』
「いつもより早い時間に出てきてるから、始業時間はまだだよ。だからゆっくり行こうと思って。」
『……じゃーその時間まで俺に付き合ってよ。お兄さん面白そうだし。』
「……え?」
♢
「(何故こうなった。)」
会社に向かう時間まで、およそ1時間ほど。それまで公園のベンチに座って話し相手にでもなって欲しいと言われた。
『お兄さん名前は?』
「お、俺?」
『お兄さん以外に誰が居るのそれ。』
「俺は……「山本 照久」……。」
『てるひさ?あんまり聞いた事無い名前。』
「そう?……君の名前は……聞いていいの?高校生と大人って、しかも初対面だし、危うい所じゃ……。」
『「三浦 界」。』
「あ言うんだ。」
Kai「別に俺がお兄さんの事受け入れてるから不審な目では見られないでしょ、多分。」
「……はは、どうだろうね。」
Kai「……。」
「……界君って、モテる?」
Kai「……え、何急に。」
「いや、界君イケメンだからさ。」
Kai「……別に、あんまり興味無いから分かんない。」
「ぜっっったいモテてるって!」
Kai「モテてても興味無いって。」
「えーもったいないなぁ……。」
Kai「そう言うお兄さんはどうなの。」
「え、俺??」
Kai「うん。」
「モテてると良いな〜。」
Kai「……願望なんだ。」
「うん笑」
Kai「……まぁお兄さんイケメンだし、モテると思うよ。」
「え!ホント!?」
Kai「急に元気なったね。」
「君に言われると嬉しいな〜。」
Kai「……。」
♢
それから、30分ほどは雑談をして楽しんだ。
「(知らない男の子だったしクールそうで怖かったけど、案外話してみれば楽しいな。)」
Kai「お兄さんさ。」
「ん?」
Kai「……何か悩んでんの?」
「……悩み?いや、無いかな。」
Kai「……ふーん。」
「……どした?」
確かに悩みはあるが、何故バレたのだろうか。
Kai「時々悲しい顔するし、元気無いし。」
「元気はあるよ〜笑」
Kai「……相談しないの?」
「……だから無いって……、」
Kai「俺が高校生だから嫌?」
「……そんな事は……無いけど、」
Kai「お兄さんまだ若いんだし、そんなに溜め込んじゃ気病んじゃうよ。」
「……高校生に、大人が相談とか、大人気ないじゃん。」
Kai「関係無いよ。俺ら人間同士、何も変わんない。」
「……界君……、」
そう思えば、確かに言える気がしてきた。高校生とただの大人だから、距離を掴めずに困っていたけど、そう言ってくれた時、心につっかえていた何かが消えた気がした。
「……俺、実は……、」
今悩んでいた「北沢」との距離について、高校生の青年に話してみた。界君は北沢の事を知らないし、何か変わる事は無いだろうけど、俺の中では誰かに喋りたかったのかも知れない。
Kai「……その北沢って人、何があったの?」
「……お父さんが誰かに殺されたんだって。それから、心塞いじゃって……俺にも何も話してくれなくなって。なーんか冷たいし、反応薄いし。」
Kai「……じゃー、お兄さんの考えすぎじゃない?」
「……考えすぎ?」
Kai「嫌われてる訳じゃなくて、ただ心がしんどいだけだと思う。」
「……、」
Kai「……だから、寄り添えば少しは楽になれるんじゃない?」
「……寄り添う……。」
Kai「お兄さん見るからにお調子者だし、誰にでも突っ込むタイプだと思うから、ちょっと距離開けて話してみたら良いと思うよ。」
「…………ありがとう、界君。俺、今日会う予定だからやってみる。」
Kai「……あと、俺の名前呼び捨てで良い。俺は一応お兄さん年上だからお兄さんって呼ぶけど。」
「じゃー……界、俺仕事だから行くわ!また会えたら話そ!」
Kai「うん。俺この近くの高校だし、会おうと思えばすぐ会えるよ。」
「了解了解!また会いに行くわ!」
界は静かに微笑んで手を振った。俺もそれに返すかのように大きく手を振って、その場を後にした。
界に話したら、少し気が楽になれた気がしたから。
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