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郊外の林道を抜けると、屋敷が見えた。この辺りは民家はなく人気もない。


「一体何時まで待てば良いんだよ」


草木に隠れ、屋敷の様子を窺っていると、ヘンリックが、げんなりした様子で不満を述べた。それもそうだろう。何しろレンブラント達は今朝からこの場所で待機していた。そして今、辺りは緋色に染まりもう夕暮れだ。


ティアナが行方不明になり、あれから五日が経つ。あの後、ヴェローニカから聞き出した情報は余りにも乏しくお粗末なものだった。


『ティアナ・アルナルディの後をつけた事があって……その時にフードを被った男から話し掛けられましたの。彼女を必要としている人物がいるから、協力して欲しい、謝礼はするからと持ちかけられまして……。勿論、謝礼は頂いてませんわ。だって、ティアナ・アルナルディを排除出来るなら私の目的は果てせますもの』


何故か胸を張るヴェローニカに呆れつつも、登院中のティアナを予め準備された馬車に無理矢理押し込めたと聞いた時は、レンブラントは本気で彼女を殴りそうになった。

そんな事で結局、ヴェローニカの話からは犯人の素性を掴む事は出来ずに、元々クラウディウスが目星を付けていた数人の人物を探る事にした。その内の一人が、この屋敷の主人であるオラル・ゴーベルという訳だ。


「まだダメだ」

「何でだよ。ティアナ嬢が、この屋敷に居るって確認は取れたんだろう?」


クラウディウスは首を横に振った。

確かに、潜入させていた配下からまだ合図はない。ヘンリックの気持ちは分かる。正直もどかしくて仕方がない。レンブラントだって今直ぐにでも屋敷に突入して、ティアナを救い出したい。だがタイミングを見誤れば、彼女の身が危ない。時には忍耐強く待つ事も必要だと、自分に言い聞かせて耐えるしかない。


「クラウディウス。合図があったら屋敷内には、僕とヘンリックだけで突入する。君とテオフィルは、この場で待機していてくれ」


本来ならば、王太子である彼がこの場にいる事自体おかしな状況だ。ただ今回、クラウディウスは自らの責任だと言って強引に一緒について来てしまった。だがこれ以上は流石に何かあったら不味い。

それにレンブラントとヘンリックの二人と言っても、配下の者達は屋敷を囲む様にして配置している。無論彼女の安全を確保出来たら、その後は彼等に任せるつもりだ。


「いや、私も一緒に行く」

「それは幾ら何でもいけませんよ、クラウディウス。危険過ぎます」


何時も以上に頑ななクラウディウスを、三対一で諌めるが、彼は一歩も譲るつもりはない様だ。彼の長所の一つでもある正義感は、同時に短所でもあると、ヒシヒシと感じた。


バリンッ‼︎ 不意にガラスの砕ける音が辺りに響いた。その瞬間、クラウディウスは動き出す。慌ててレンブラント達もそれに続いた。


「クラウディウス、合図ってまさかこれか⁉︎」

「いや、違う。だが、何かあったのだろうな」


予定では正面の出入り口にて、使用人に扮して潜入していた配下が現れ「旦那様、お客様がお見えです」と声を掛けてる手筈だったという。だがその前に、どうやら予期せぬ事態が起きた様だ。

レンブラント達は警戒しつつ、扉から中へと突入した。

【拝啓、天国のお祖母様へ】この度、貴女のかつて愛した人の孫息子様と恋に落ちました事をご報告致します。

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