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屋敷内は騒然としていた。使用人等が混乱状態で逃げ惑い、ゴーベル家の配下と騎士団員等が打ち合いをしている。


「これは、どういう事だ」


レンブラント達が呆然とする中、一人の騎士団員が近付いて来た。


「クラウディウス殿下、ご無沙汰しております」


大柄で亜麻色の髪と強面の男は、クラウディウスに会釈をする。見覚えのある彼は、ユリウス・ソシュールの配下であり友人のカミル・ドーバントンだ。学院時代から彼はユリウスと常に行動を共にしていた事を思い出す。


「カミル、何故君がここにいるんだ」

「任務兼悪友の巻き添いって所ですかね」


彼は、呆れ顔で肩をすくめる。悪友とは聞かずとも分かる、ユリウスの事だろう。それよりも気になる事がある。


「一体、誰の命令だ」


レンブラント達とは別に、彼等は動いていた。騎士団を動かせるのは国王か若しくは宰相だけだ。幾ら王族だろうが、権限はない。故に、今回レンブラント達が連れて来た配下達は護衛という名の私兵だ。但し、クラウディウスのというと語弊になる。正しくはクラウディウスの母の生家の私兵だ。


「俺達騎士団を動かせるのは誰なのか、殿下も良くご存知な筈では?」


クラウディウスは顔を顰め、カミルを睨む。だが彼はまるで意に返さず、寧ろ口角を少し上げたのが分かった。



「わ、私はっ、ただ儲かる話があると言われて、それに乗っただけなんだ‼︎ まさかこんな事になるなんて思わなかったっ、本当だ! 信じてくれ!」


そんな時だった。階段の上の方が一層騒がしくなる。

う、うわあぁ‼︎ 情けない声を上げながら階段を転げ落ちてきた恰幅の良い男は、レンブラント達の前に寝そべった。


「おや、随分と呆気ないですね。張り合いのない」


コツコツと優雅に靴音を鳴らしながら階段を降りて来た黒髪の騎士団員の男は、こちらを見て丁寧お辞儀をした。


「お初にお目に掛かります、クラウディウス王太子殿下。私はユリウス・ソシュール副団長の部下のマインラート・ロッシュと申します。お見苦しい所をお見せしてしまいまして申し訳ございません」


ユリウスの部下と名乗った青年マインラートは爽やかに挨拶を終えると、ゴーベル伯爵を足蹴りした。だが伯爵はピクリともしない。どうやら気を失っている様だ。


「マインラート、ユリウスはどうした? 一緒じゃないのか」

「彼なら地下へ向かいましたよ」


カミルの問いに、彼はそう返した。


◆◆◆



ティアナは外の様子が気になって立ち上がり扉へと向かおうとするが、クヌートに腕を掴まれ止められる。


「無駄だよ。この部屋の鍵は中からは開けられない。時間にならないと使用人も来ないしね」


確かに彼のいう通りこの部屋は特殊な造りになっており、内鍵がなく外側からしか鍵の開閉は出来なくなっている。そう考えると、まるで牢の中の様だ。

依然として部屋の外は騒がしいが、彼の言う通り扉を開ける事が出来ない以上何もする事は出来ない。ティアナは諦めて座り直した。


外とは反対に部屋の中は静まり返っていた。クヌートは落ち着かない様子で、テーブルを指で叩いている。顔は強張り、緊張しているのが伝わってきた。多分彼は、今この部屋の外で何が起きているのか分かっているのかも知れない。


どれくらい時間が経過したかは分からないが、外が静かになった。ティアナは、やはり外がどうなっているのか気になりクヌートの様子を窺い見る。


「あの……」


ティアナが彼に話し掛けたその瞬間だった。バンッ‼︎ と激しい音と共に勢いよく扉が蹴破れた。


「⁉︎」


突然の出来事にティアナは身体をビクリと震わせて、目を見開き固まる。すると部屋の中に、扉を壊した人物が入って来た。それはティアナの良く知る人物だった。

【拝啓、天国のお祖母様へ】この度、貴女のかつて愛した人の孫息子様と恋に落ちました事をご報告致します。

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