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(ここが…earth…)
ポツリと心のなかで呟く少年、神仲 陽(ハル)はリュックの肩掛け部分を握りしめた。
(やっと、ここまできた。来れた。兄ちゃんと一緒の舞台に)
陽の兄、竜涼星はかれこれ6年前、事故でなくなった。
その兄が所属していた、学院 兼 世界認定安全機関・earthの施設の前に今、陽はいる。
earthとは、その名の通り世界を魔王軍の進行から守るために能力を保持したものが集まる、世界の希望と言っても過言ではない機関だ。
陽は筆記試験を無事突破し、今日、面接試験に挑むためその学び舎に足を踏み入れていた。
そもそもearthは超難関校だ。
一年に入学できるのは50人ちょっとで、そこから退学やら留年やらが発生し、一年に一回学年を上がれるものは2,3人いれば上等レベルだ。
入学してからも能力でクラス分け、さらに『軍』というearthの特殊部隊があり、そこに入れるのは選ばれた選ばれた中の天才の、エリートしか入れない。
またearthには『攻撃専攻』『情報専攻』『人命専攻』の3つの専攻学問がある。
陽が受けるのは『攻撃専攻』。
主に魔物に攻撃し、討伐をする隊員を排出するのが目的の専攻だ。
(けど、毎年毎年希望者数が定員オーバーしまくって倍率すごいことになってるんだよなぁ…)
陽はとほほ、と受験番号の書かれた用紙に目を移す。
受験番号がモニターと音声で呼ばれるため、呼ばれれば奥の面接会場へ移動、という運びになっている。
周りにはすごい数の人数がガヤガヤと入り乱れていた。
『5189』
陽の用紙に書かれた番号が呼ばれた。
いかなくては、と前を向いた途端、うっと眉間にシワを寄せてしまった。
(この人混みかき分けるって…やばくないか?)
人の多さに目を回しそうになるも、耐えて進んでいく。
面接会場へたどり着くと、ドアの前にはきれいな女性が立っていた。
「どうぞお入りください」
「あ、ありがとうございます」
面接に緊張しながらも、開いてくれたドアから入る。
「失礼します」
陽は緊張した面持ちで面接官の前に立つ。
面接官はきれいな顔をした眼鏡の男子で、何故か目をつぶっていた。
「ん〜、座って座って〜」
メガネの男子はかるそうな言葉遣いで陽に椅子を勧めた。
そのキャラに多少動揺しつつも椅子に座る。
「今回の面接官を務める、ハルヒだよ〜、よろしくね〜♪」
「あ、えと、神仲 陽です。お願いします」
ハルヒはきれいな顔で、んふふ〜と微笑む。
(いや、ちょっと発光してないか?)
陽は思わず目をつぶってしまう。
「んじゃぁ〜、保持能力とその詳細をPRしてくださ〜い」
「は、はいっっ!」
陽は気合を入れ、返事をする。
「えと、僕の能力は『洗脳』です。周りの人間を洗脳し、自分の思うがままに動かすことができる能力です。この能力を使うと、記憶操作、解呪など失ったものなどを取り返すこともできます」
「ん〜、神仲家…となると『洗脳』が有名だったよね〜?となると、君は当主かな?」
「い、いえ!確かに本来ならば現当主なのですが、僕はすでに継承権を破棄しています。なので現当主は甥で、もう僕は家とは関係がないといいますか…」
身振り手振りを加えながら説明するが、途中でハッと気づく。
(やばい…重い印象もたせちゃったかな…?)
しかしハルヒは読めない表情で微笑んでいた。
「なるほど〜、うんうん、じゃあ次は…得意なことなんでもいいからPRして〜」
「えっと…得意なことは…__」
意外と触れられなかったことに戸惑いつつも質問に答えた。