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穂先を伝い流れ落ちる一筋の血
その一滴が、立ち尽くすハンスの頬を叩く
生暖かい血液の感触が輪郭をなぞり
いずれ、冷たく乾いた痕跡へと変わり果てる
『所詮は、国家のツラ汚しだったか……』
グシャッ
ボタタ────ッ………
ロスの横腹から槍を引き抜いたレオンは
力任せに血を薙ぎ払って笑う
『次は女の方だ』
『……ろ……ロス…?お、おいッ……』
現実に揺らぐハンスの視界には、
落下していく血まみれのロスが映り込む
絶望に歪んでいくその表情にレオンは
心底愉快そうに地面へと降り立つ
スタッ
二人の目の前に着地したレオンは
右手に持った槍を構えて言う
『どうだ?目が覚めたろう?貴様等の生ぬるい遠足気分もここまでだ……』
第13話【超えろ限界】
血がとめどなく溢れ出る横腹を抱え、
ロスはビルの屋上に倒れ込んでいた
呼吸は荒く、指先は冷たい
意識が途切れては戻るを繰り返す
さっきまで汗をかいていたのに、寒い
(まだ……まだぁ…死ねるかッ………)
立ち上がりたい
今すぐにでも、二人の助けに行きたい
ぐぐぐッ────………
思い切り踏ん張る
両脚に全ての力を乗せて立ち上がろうと
全身全霊で踏み締める
ぐぐッ───ぐぐッ────………
それでも、
冷え切った体は言う事を聞かない
(なんだ……こんなもんかよッ……)
(オレは……こんな………)
(…こんな…………)
ロス・タンカー
彼の異能は ”瞬間移動”
半径50m以内の地点であれば、
自由自在に飛び回る事が可能となる
だが、しかし───
その半径をもし0.1mmでも越えてしまえば
その身に、大きな代償を払うことになる
よって、ロスがこなしているのは
神の所業
そして、彼は異能だけではなく───
圧倒的なポテンシャルも兼ね備えていた
(50m────)
(越えてみるか…………)
その異能力に伴う代償という概念
それが何を意味するのか────
そんなもの、 今のロスには眼中に無かった
痛みをも死の恐怖をも凌駕するのは
”選ばれし異能師の本領”
『死ねェェ………!!レオォンッ!!』
怒りに任せてハンスは走り出し、
壁を拳の形に変形させてレオンを殴り飛ばす
『ぐッ………!!?』
ポタタタ────ッ
怒りと言う感情に任せたその一撃は、
無傷だったレオンを吐血させるまでに至る
唇から流れ落ちる赤い血
レオンは初めて苦痛に表情を歪ませる
『この期に及んでェ…まだ無き勝機を探るのか……?ドワーヌ・モス・ハンスッ』
『オレだけじゃねェ……!ラスクも、ロスも……まだ諦めちゃいねェ!!』
シャシャシャッ
バラバラバラ────ッ!!
それを聞いたレオンは槍を振り回し
コンクリートで出来た拳をバラバラにする
『ロスゥ……?もういないじゃないか』
ゆっくりとした足取りで迫り来るレオンに、
ハンスとラスクは構えを取る
『いいや────』
『お前にロス・タンカーは殺せねェ』
ビュッ────
『───ッ!!?』
コメント
1件
いやあ、熱いっすね……!ロスが“瞬間移動”の代償を承知で50mの限界を越えようとする決意、痺れました。あの「越えてみるか」の一文だけで、覚悟と狂気が伝わってくる。ハンスの怒りの一撃でレオンが初めて苦痛を見せたのも、ついに流れが変わる予感がしてゾクゾクしました。「ロス・タンカーは♡♡♡ねェ」と言い切るハンスの信頼にもグッときます。続きが気になって仕方ない!