死、私たちは常にその逃げられない影と戦っている。否、戦うという表現には違和感がある。戦うとなれば向かい合わなくてはならないが、私たちは何とかしてその影から逃げ回っているというのが現状だ。親しい人や同世代の訃報に、眼を背けたい、耳を塞ぎたい衝動に駆られはしないか?自分の行く末に死を想定出来る程強い精神を皆が持ち得るのだろうか?私はこの1枚の写真と向き合う度、できるなら穏やかな、緩やかで緩慢な最後を夢見る。苦痛や後悔のない、決まりきった穏やかな死に顔の自分を。きっとこの写真の持ち主もそうだったに違いない。日記を読み進めれば、そのような予定調和に満ちた結末にたどり着けるはずだ。もしそうでなければ、どうやってあのご婦人に報告が出来よう?
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