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蜂蜜きな子
16
#犬
ここと🌹🫶 @低浮
203
みみ
49
21章目行きます。
「ここなら、あんたは絶対に消えない。……ねえ、ずっと僕と一緒に寂しくなってよ、露葉」
鏡の最奥の迷宮。ミツバくんの冷たい指先が私の類を撫で、無限に広がる鏡の壁が、私たちの姿をどこまでも冷酷に映し出していく。現世(こっち)の音が何も聞こえない静寂の中、私は手首の月のブレスレットを握りしめることしかできなかった。
その時だった。
ーーガキイイイイインッ!!!!
鼓膜を引き裂くような凄まじい破壊音が替き渡り、一面に広がっていた氷の鏡が、粉々に砕け散った。
「ーーそこをどけって言ってんだろ、三番(ミツバ)ぁッ!!!」
砕け散る鏡の破片の雨を浴びながら飛び込んできたのは、全身からましいほどの黒い情念を溢れ返らせた花子くんだった。柚子は斜めにズレ、琥珀色の瞳は完全にハイライトが消えて据わっている。その手に握られた包丁は、禍々しいオーラで黒く光り輝いていた。
「ミツバァァァッ!!露葉さんを、俺たちの露葉さんを返せッ!!!!」
続いて、光くんが涙目で叫びながら咆哮をあげる。その手に持つ霊刀からは、鏡の世界を焼き尽くさんばかりの、過去最大級の青白い雷がバリバリと狂ったように吹き荒れていた。
大切な露葉ちゃんを奪われ、監禁されかけた2人の怒りは、すでに限界を突破していた。
「あはっ、やっぱり来ちゃうんだ。しつこい男って嫌われるよ?」
ミツバくんはチッと舌打ちをすると、巨大な黒いを広げて私を背後に隠し、鋭い爪を構えた。
「はあああああッ!!!!!」
光くんが凄まじい速度で踏み込み、雷の刃を振り下ろす。ミツバくんがそれを爪で受け止めるが、強烈な電繁の衝撃で周囲の鏡が次々と爆発するように割れていく。
「遅い、遅いよ少年。退いて」
その競り合いの僅かな隙を突いて、花子くんが重力を無視した動きでミツバくんの死角から肉薄した。
黒い包丁の刃が、冷酷な軌道を描いてミツバくんの質を深く切り裂く。
「う、ぐあぁっ…….!?」「ミツバくん…….つ!」
私が思わず声をあげた瞬間、花子くんは容赦なくミツバくんを蹴り飛ばし、国に浮いた私の身体を、ガシッと強い力で抱きすくめた。「…..捕まえた。もう絶対に離さない」
花子くんの腕は、生きている人間にはあり得ないほど冷たい。だけど、そこから伝わる心臓のバクバクとした(怪異なのに激しく脈打つような)執着の強さは、あの生前の夜以上だった。
花子くんは私の自筋に顔を埋め、まるで自分のものだと世界に誇示するように、強く、強く抱きしめてくる。
「花子!露葉さんを一人占めすんじゃねえっていつも言ってんだろ!!」光くんが息を荒くしながらも、顔を真っ赤にして私の方へ駆け寄ってくる。
「あまね..・、光…・」
「…..つ、痛いなぁ。せっかく、僕だけのものにできたのに…・・」
切り裂かれたを押さえながら、ミツバくんが床から這い上がり、どろりとした嫉妬と寂しさが混ざった瞳でこちらを睨みつける。
花子くんの冷たい腕の独占欲、光くんの熱い視線の守護欲、そしてミツバくんの冷たくて
切ない監禁欲。
3人の男たちの、私を絶対に消えさせまいとする狂おしいほどの愛の火花が、砕け散った鏡の破片の中で美しく激しく、きらきらと反射していたーー。
コメント
1件
わあ、第21話、すごかったですね……! 花子くんの「そこをどけって言ってんだろ、三番ぁッ!!!」の登場シーン、鳥肌立ちました。あの砕け散る鏡と黒い情念のビジュアルが鮮烈で、3人の男たちの「絶対に離さない」執着がそれぞれ違う形で描かれているのが本当に美しい。ミツバくんの「ずっと一緒に寂しくなってよ」という台詞も刺さりました。展開が熱くて、次の話が待ち遠しいです!