「みんな!準備はできた?戻るわよ。私達の…幻想郷に!」
《行こう!私達の幻想郷へ!》
みんなが一斉に声を上げた。息ぴったりだ。これならすぐに月の都も攻略できるだろう。
「頑張ってきてね。」
こちらの私が最後に手をギュッと握る。
私はうなずくと、鳥居の前で……
「夢想封印・改」
パァァァ!
あたりが光り輝き、私達の幻想郷へ戻ってきた。
やはり何度見てもなれない。無惨な人の死体がたくさん転がっている。
私達は黙って永遠亭に向かって歩いた。
月の都には永遠亭から行けるのだ。だから、まずは永遠亭を目指す。
「静かよね。これならすぐに辿り着けそう。」
「でもなんででしょう?前も思いましたが、異様に静かです。……最悪の場合…全滅という場合も……」
妖夢がうつむいて言葉を投げかける。
私達はひたすら歩き続ける。
「…月の都を攻略したところでなんとかなるの?死んだ人は帰ってこない。生きていたとしても一生のトラウマを植え付けられる。どちらにしろ最悪の未来しかないわ。」
私は怒鳴るようにして言葉を投げかけた。
ポツ ポツ
「雨…だな。土砂降りになりそうだ。」
魔理沙が空を見上げながら言った。
私もつられて空を見る。
そこにはなかったはずの月があった。
私達は自然に足取りが早くなった。反射的にただならぬ妖気を感じたからだ。
ザァァァー
魔理沙が言ったようにたくさんの雨が振り始めた。
「着いた。」
私は改めてみんなに向き直ると、みんなで手を合わせる。
『絶対に勝とう!』
みんなで声を合わせる。
私達は上空に見える大きな月に届くように、手を突き上げた。
「薄暗いわね。警備もいないわ。」
キィッ
「ひっ」
幽々子が短い悲鳴を上げる。
幽々子は妖夢にしがみつき、あたりを見回す。
「…!避けろ!」
魔理沙の声とともに、たくさんのレーザーが顔の横をかすめていく。
「レイセン何やってんのさ。はずしたら駄目じゃん!今度は私がやるからレイセンは引っ込んでて!」
パン! パン!
何かの割れる音が聞こえる。
その途端たくさんの紫の霧が現れた。
「皆さん伏せて!ここは……はぁっ!」
妖夢が剣を振り下ろすと、霧はふっと消える。
霧の向こうにいたのは、うさぎの容姿をした二人組。
「相手は剣使いか。てゐ!あんたはそこの剣使いと魔法使いをお願い。私は…こいつらを始末するわ。」
「くるわよみんな!臨戦態勢に!」
みんな臨戦態勢を取る。
レイセンがゆっくりと近づいてくる。
「ここは場所が悪い。場所を変えよう。」
バァン!
私と幽々子は弾幕に吹き飛ばされる。
なんとか受け身を取れたが、かなりのダメージを受けてしまった。
「油断禁物。この言葉知ってる?」
そう言ってレイセンが私の目の前に現れる。
ヒュヒュッ!レイセンが蹴りを入れる。
「私を忘れないでください!反転腸!」
「!これは…うわあぁ!」
レイセンは幽々子の弾幕に当たり、吹き飛ばされる。そして、そのまま気絶してしまった。
妖夢達は……
ガキン!
「なっ!」
てゐが遠くへ吹き飛ばされる。受け身は取ったようだ。
でも、これで終わりだ。
「魔理沙!」
「ああ!アルタースパーク!」
ドォォン!
大きな爆発音が響き渡る。
煙が腫れると、そこにはてゐが横たわっていた。
「ふぅ…。なんとかなりましたね。」
大きくため息をつく。
「妖夢!魔理沙!」
目の前にはてゐが横たわっている。
てゐとレイセンは安全な場所に置いていくことにした。
「……そういえば…月の都ってどうやっていくのかしら?」
「いや、調べてないのかよ!」
魔理沙がツッコミを入れた。
「ん?何かあります〜?ホコリを被っています…月の都の…えぇと……歴史本?」
幽々子が物珍しそうに本を見つめる。
幽々子が持っている本を覗きこむ。
「イツカ…タリトリ…散りぬるを………。何この呪文…?」
私はそこに書いてあった言葉を読み上げた。
「え、わぁ?!本が光りだして……?」
『うわあぁ!』
バサッ!
私達がいた場所には一冊の本が残されている。
そこに何者かが降り立った。
「依姫。どうやら無事にそちらへ行ったようです。」
何者かが宝石を通してもう一人に語りかける。
「ああ、豊姫。私達の元にたどり着くには輝夜と永琳を倒さなければならない。なかなかの苦戦を強いられるだろうな。」
「もう一度計画について聞いていいかしら?依姫の説明わからないのよ。」
豊姫が不満そうに語りかける。
「私達の計画はシンプルなものだ。そう…人々を殺すことだ。戦争は起こしたくはないが、やるしかない。サグメ……いや、呼び名はスクナか。スクナを助けるために。スクナを助けるためには数々の魂がいる。……地上の人間には申し訳ないが……。」
豊姫はうなずくと、不気味な笑みを浮かべた。
「さてと。輝夜たちの前には青藍や鈴瑚がいるのよね。あの子達に耐えられるかしら?私も準備しなくちゃね。」
そう言って、暗闇の中へ消えた。
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