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「招待状、
もう届いた?」
昨夜の声が、
朝になっても
耳の奥に残っていた。
スマホが震える。
彼から。
文章は、短い。
私は、
文字を打たなかった。
指が止まる。
代わりに、スタンプ。
にこやかな顔。
既読がつく。
少しして、また通知。
今度も、スタンプ。
それだけ。
既読スルーは、
しない。
それは、
刺激になる気がした。
怖かった。
カーテンの隙間から、
外を見る。
マンションの下。
昨日と同じ場所。
車。
色も、
形も、
動かない感じも。
長く見ない。
そう決めて、
視線を外す。
部屋は、
静か。
ベッドのそば。
暗がり。
そこには、何もない。
……はず。
スマホが鳴る。
友人の名前。
通話。
「今度の休み、
カフェでランチしよ」
いいね、と答える。
日にち。
時間。
場所。
声に出して、
確認する。
部屋は、
暗いまま。
通話が終わる。
スマホを伏せる。
胸の奥で、
鼓動が少し早い。
その日は、
彼から
それ以上
何も来なかった。
当日。
カフェ。
明るい店内。
カップの音。
笑い声。
私は、
ちゃんと笑っていた。
友人の話を聞いて、
頷いて、
笑って。
――大丈夫。
そう思った瞬間。
視界の端。
立ち止まる影。
顔を上げる前に、
声がした。
「あれ?」
聞き慣れた声。
「偶然だね」
彼だった。
理由を言う前に、
もうそこにいる。
迷いなく。
「この近くで
仕事があってさ」
自然すぎる笑顔。
友人が、
私を見る。
「知り合い?」
私は、頷いた。
彼は、
当然みたいに
椅子を引いた。
まるで、
最初から
そこに座る予定だったみたいに。
心臓が、
一度、
強く打った。