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. 続き .
. side : N .
. ※ 株式会社 → ㈱ 省略
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俺は二宮和也。元経営者の父と母の間に産まれた少し裕福な家系の奴。親が元レストラン経営者で、大手企業の人たちに個人的な縁があって、たまにその企業やってるって人の家に遊びに行くこともあった。父と深い縁があったのは櫻井財団。母と長い縁があったのは大野財団。どちらとも2ヶ月に三回は相手の家に行ったことがある。そのためか櫻井さん家と大野さん家の息子さんと仲良くはなった。どうやってそんなスゲー人たちと縁があるのは全く教えてくれない。ただの古い友人だとか、常連さんとかごまかして。そんで、俺と言えばごく普通の学校生活をして、少しいい高校とか大学とか出て、第一希望の会社に受かって。ちょっと運のいいだけの、ただの平凡な奴。俺は、受かったあとはなんか社内恋愛とかでもして、結婚していくんだなぁなんてそんな未来を想像していた。
─副社長に会うまでは。
副社長に初めてあったのは数年前の会社が開いたパーティーだった。
そのときは会社で知り合った仲間と談笑していた。
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「これって、何のパーティーなんですか?
そう俺が聞くと、神田さんが答えてくれた。
「これはねえ…もう新入社員の募集が終わって暫くしたから社風には慣れたかな~みたいな、歓迎会みたいなものじゃない?
神田さんは俺と同部署の先輩。先輩なだけあって仕事もできていて、周りの人にも優しいといった結構いい先輩だ。
「へぇ~…歓迎会。
神田さんの発言に納得をしていると、神田さんの隣にいる吉永さんも口を開く。
「そういう噂もあるけど、他の会社とかも来てるし、全部署が参加してることから、交流会みたいな噂もあるぜ?
吉永さんは、神田さんと同じで俺と同部署の先輩。吉永さんは神田さんと比べたら少し仕事はできないものの、人付き合いが良くて他会社との契約や他部署との付き合いも良い。
「へ~、交流会。どっちかっていうとそっちの方があり得ますね。
二人とも、意外といい人で、楽に話しやすい。
「うん、確かにね~。まあ、実際どっちでもいいんじゃない?
「…まあそうだな。こんないろんな人と話せるのは滅多にないし。
けど、意外と適当なところもある。
「うんうん。
「そう言えば、他の会社とかって…どういう会社が来てるんですか?
「あ~、まあ、主にはこの会社を裏で支えてる櫻井財団とか。
櫻井財団…うちの父と深く縁があるところだ…
「櫻井?!え、本当ですか?
「え、どうしたのそんな驚いて。
「いえ、すみません…他にはどんな会社が?
「そうか…他は、長谷川㈱とか、…
他はすごい会社が来てるってことだった。
「あぁ、そうなんですね。結構すごい会社ばっかりなんですね。
「ま~、松本㈱も十分すごい会社だからな。
「はい…
ここら辺ではトップ並みの企業だとか言いますもんね…
「あれ、そういえば、今日は社長の知り合いも来るって話じゃない?
「え、誰なんですか?
「それも財団法人だって、
「え…金持ちパーティーみたいですね。
なんでそこに自分らが居るのかわかんなくなりそうだ…
「あー確かにな。
「場違いみたい…(笑)
「もうこの会社でのじゃなくて、他の会社もって感じがするな。
「ですねぇ…
そんな会話をしていると会場に声が響く。
『会場にご覧の皆様、これより松本㈱主催、新入社員の歓迎会および他社との交流会を始めさせたいと思います。
そう司会の日とが言うと全体の電気が消え、吊り看板に証明が当てられる。
「歓迎会と交流会どっちともじゃないですか。
「そう、だね(笑)
「まぁまぁ。
意外と息をするように嘘も吐く。
『始めに、本日司会を勤めさせていただく、松本㈱の─本部長、井之上宏樹と申します。皆様、本日はよろしくお願いいたします。
会場に拍手が鳴り響く。
それは四秒ほどで鳴り止んだ。
『それでは、この会の本趣旨についてですが…
そのあとは、参加する会社の代表として櫻井財団の人が話したり、この会社の魅力を伝えたり、そんな話が続いたあと、プログラムが副社長の話に移った。
『では、次に我が社の次期社長の候補、松本潤副社長です。
舞台袖にライトが照らされる。
そこから出てきたのは、全体的にすらッとしていて、尚且つ顔が整っている、身体と顔に差のある、顔の整った男性が出てきた。
その姿を見た瞬間、胸がドキリと鳴った。
…おかしい、俺は男だ。それに副社長も男だ。なんで今、ドキリとしたんだ?
間違いない、それは、俺が副社長に一目惚れをしたというサインだった。
─ドキン、ドキン。
胸の鼓動がうるさい、顔が暑い、今自分は興奮をしているのだろうか?周囲の音が消え、胸の鼓動と、副社長の低いけれどどこか柔らかい声を響かせるスピーカーの音だけが聞こえてくる。
なんだ、これは…明らかに普通じゃない。どうしてだ。
頭の中では疑問が生まれ続ける。─だがその答えはひとつしかない。
…俺はその考えから逃げるようにして、会場を走って去って行った。
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「はぁっ、はぁ…
俺が逃げてきた先は、手洗い場だった。
走って荒くなった息を整えながら、鏡を見る。
顔はまだ赤くなっていて、胸の鼓動も息でうっすらしか聞こえないが、今もなお鳴り続けているのが聞こえる。
俺は蛇口から水を出して顔を濡らす。
「─はぁ、はぁ…そんな、そんなはずは…
、そんな、男が、男を好きになるわけ…ない、だろ?
俺は頭を抱え、必死に現実逃避をする。
そうしていると、入り口から声が聞こえる。
「おい、急に会場を飛び出して何をやっているんだ。
間違いない、さっきの副社長の声だ。
急に走って会場を出たから、心配をしてくれたのだろうか?
その声を聞いた瞬間、再び先程の感覚が襲いかかってくる。
「…おい!聞こえているのか?
「ぁ…ぃ、ぃぇっ…何でも…ありません…
そうぎこちない返事で返すと、副社長はこちらに向かって歩いて来る。
「お前、顔赤いぞ?風邪か?
首をかしげて顔を覗かせてくる。
その凛とした顔を直視すると、もっと俺の鼓動は速くなっていく。
「い、いえっ!…そんな、わけではございません…
そんな…そんなはずは…
「じゃあなんだ、恥ずかしいのか?
「ぃ、ぃぇ…ッ…
、ない、だろ…?
「…じゃあなんだ。
もう一歩近付いてくる。
「た…ただ…
「うん?
「副社長を見ると…
「私を見ると?
その言葉を発すると、驚いたのか気に触ったのか、眉間にシワを寄せて険しい顔になる。
「見ると…ぁの…ッ、顔、が、
「顔が、なんだ、早く言え。
「ぁ、あつく…なって、しまうん…です…
と、副社長を見上げると、副社長は、ポカンとした表情になる。
「は…?…お前、それって……
副社長は後退りしながら自分の手で口元を隠す。
「…なるほど、そうだったか……それなら、暫く休んでおけ、…それじゃあ、私はこれで。
そう言って副社長は急いで手洗い場から出ていった。
あれ…?副社長、頬紅く…なってた、?
もしかして…いや、そんな…ねぇ?
副社長とこんな平社員が…
気のせいだ…なにかの、
うん…きっと……
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確か、その後は…
適当に言い訳作って誤魔化して、翔さんとかとも話して…
で、終わって…シャンパンで少し酔ったな…(笑)
なぜか副社長に送ってもらって…でそのあとは…
なんだか、急展開だな…出会いって、
そのあとなんやかんやあって今に至るんですけど…(恋人)
勿論、公開なんてものはしてない、バレたら即アウト。
だから、もう大変…なんだよなぁ…
そういえば、なんかルール決められたな。
電話は六コール以内に出ることとか…
ぁ…門限。確か、10時。
まぁ、フツーってところ。
用事は連絡しろ~とか、
意外と、厳しいのョ…!
でも、優しい。
こういうルールは潤くんが心配性だからっぽい。
心配性…ねぇ?
まぁ、別に文句はないけど…
なんか、嫌だね…(笑)
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