あの日見た月と
その日消えた君。
『 どうか見せてください 』
そう願う日々が続いてから
何年経っただろうか。
そんな僕のお話。
「見て!あの月満月だよ!まん丸だ!」
「本当だ、綺麗だね」
そう弟と話していた
ただの普通のことだと思ってたのに
「うわっ!」
弟の驚いた声が聞こえた
瞬時に振り返ると
「お兄ちゃっ 、 助けて ッ !」
弟が溺れていた
近くの湖で
「待って 、 今手を ッ …!!」
遅かった。
弟はもう 、
深い湖の底へと
落ちていった。
その時僕は何が起きたかがさっぱりで
体が震えていただけだった
涙も出ない 。
ただ 、 何も感じなかった 。
身体中が 、 とても震えていた 。
家の前の湖だったのに 、
家に帰るだけでも精一杯だった 。
そんなのも 、 過去のこと 。
あの日から毎日のように
『 弟をもう一度 、 この目でみたい 』
と何回もお願いしたけど 、
神様は 、 聞いてくれなかった 。
当然のことだ 。
僕が弟を見てなかった 、 注意不足
だったんだから 。
そんな僕も 、 もう大学生 。
研究サークルに所属していて
研究サークルの友達と一緒に
楽しく過ごしてる。
「 あのおにぎり屋のおにぎりくっそ美味い! 」
「 え 、 じゃあ食べに行こう !!」
「よっしゃ 、 行くぞ ー!!」
「ん ー ! やっぱ美味いな!」
「最高だな !!」
そう話していたら
僕の背中に気配を感じた 。
「…?」
振り返っても 、 誰もいない 。
「 気のせいか … 」
その日からずっと
背中に気配を感じる日が多くなった
本当に誰なのか 。
単なる気のせいなのか 。
僕は 、 その気配の真実に
まだ何も知らなかった 。
続く
コメント
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まっっっじで気に入った 続きがたのしみです!