テラーノベル
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⚠️戦争賛美、政治的な意図は決してございませんのでご了承ください
⚠️史実とは一切関係ありません
⚠️史実ネタでもございません
⚠️すべて、私の妄想です。
⚠ATTENTION⚠
・BL
・パラ日帝
・パラオが大人
・なんでも許せる方向け
帛→パラオ
日→日帝
日本
江戸
にゃぽん
では、どうぞ⬇
✂︎——————キリトリ線—————–✂︎
日帝side
日「……あ〜もう!!」
居間の空気に耐えきれず、日帝は声を荒げた。
日「誤解だって言ってるだろ!! 俺は!晩飯!作るからな!!///」
最後の方は半ば叫び、半ば逃走宣言だった。
顔は分かりやすいほど真っ赤で、耳まで熱い。
にゃぽん「はいはい〜逃げた逃げた〜」
江戸「ふむ……分かりやすいのう」
日本「ふふっ…」
背後から聞こえる、完全に”面白がっている声”。
振り返る余裕などあるはずもなく、日帝はそのまま台所へ逃げ込んだ。
ガチャ、と引き戸を閉め、
深く息を吐く。
日「……っ、なんなんだ……」
胸を押さえると、まだ心臓が早鐘を打っている。
家族にからかわれたからだけじゃない。
さっきから、頭の中に浮かぶのは一人分だけ。
日『……落ち着け。飯作れ、飯』
自分に言い聞かせるように、棚からエプロンを取り出し、慣れた手つきで身につける。
この感触だけは、いつもと変わらない。
包丁、まな板、人参。
トン、トン、と一定のリズムで切り始めると、
少しずつ頭が冷えてくる……はずだった。
――コツ。
控えめに、台所の入口で足音が止まる。
帛「……日帝さん」
日帝は思わず肩を跳ねさせた。
日「っ……な、なんだよ」
振り返ると、そこにはパラオが立っていた。
居間の喧騒とは打って変わって、静かな表情。
帛「……僕も、手伝います」
日「……は?」
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
帛「邪魔でしたら、言ってください。でも……」
そう言って、視線を少し下げる。
帛「昔、よく一緒に台所に立ってましたよね」
その一言で、手が止まった。
確かにそうだ。
小さな背中にエプロンを結んでやって、
危ないからと包丁は持たせず、野菜を洗わせていた。
日「……今は違ぇだろ」
ぼそっと返すと、パラオは少しだけ笑った。
帛「じゃあ……今の僕で、どこまで出来るか試させてください」
そう言って、棚からエプロンを取り出す。
迷いのない動きで身につけ、台所の前に立つ姿は、
もう完全に“大人の男”だった。
日帝は、なぜか目を逸らす。
日「……火使うからな。無理するなよ」
帛「はい」
素直な返事。
それがまた、昔と変わらなくて。
日帝は人参を切る手を再開させる。
トン、トン。
しばらく、包丁の音だけが続いた。
帛「……さっきのこと」
静かな声が、背中に届く。
日「今はその話するな」
反射的に遮る。
帛「……分かりました」
それ以上、パラオは踏み込まなかった。
代わりに、鍋を取り出し、水を張る。
その距離感が、妙に心地よくて、
同時に、落ち着かなくもあった。
日『……なんでこんな……』
昔は、ただ”守る側”だった。
今は、隣に立たれるだけで、妙に意識してしまう。
帛「日帝さん」
日「……なんだ」
帛「無理に答え、出さなくていいですから」
日帝の手が、ほんの一瞬止まる。
帛「今こうして一緒にいられるだけで……今日は、十分です」
そう言って、穏やかに微笑む。
胸の奥が、ぎゅっと締めつけられた。
日帝は何も言えず、再び人参を切り始めた。
トン、トン。
その音に紛れて、
自分の心の音まで、切り刻めたらいいのにと思いながら。
台所には、包丁の音と湯気の立つ気配が満ちていた。
トン、トン、と人参を刻む音に、
鍋の中で味噌が溶ける、やわらかな匂い。
日帝は視線を落としたまま、黙々と手を動かしていた。
隣には、エプロン姿のパラオ。
帛「……昔は、僕が包丁持とうとすると、すぐ止められましたよね」
日「当たり前だろう。危なっかしくて見てられなかった」
帛「ふふ……でも今は」
そう言って、自然な動きで具材を鍋に入れる。
その手際は無駄がなく、落ち着いている。
日帝は一瞬だけ、横目でそれを見た。
日「……ちゃんと出来るようになったな」
ぼそりと零れた言葉。
褒めたつもりはなかったが、事実だった。
パラオは一瞬きょとんとし、
それから少し照れたように笑う。
帛「日帝さんに教えてもらいましたから」
胸の奥が、また変なふうに跳ねる。
――そのとき。
にゃぽん「ねぇねぇ〜、仲良くやってる〜?」
ひょこっと顔を出す影。
日「っ!? な、なんだよ!」
にゃぽん「いや〜静かだからさ〜。覗きに来ただけ!」
帛「にゃぽんさん……」
にゃぽんは二人の距離感を一瞬で察し、 口元をにやりと緩めた。
にゃぽん「へぇ〜、並んで料理?いい雰囲気じゃ〜ん」
日「違う!!ほら、邪魔!!」
にゃぽん「え〜?」
日「危ないから!座ってろ!!」
にゃぽん「はーいはーい」
名残惜しそうにしながらも、
にゃぽんは居間へ引き返していった。
台所に、また静けさが戻る。
帛「……賑やかですね」
日「……いつもああだ」
そう言いつつも、
日帝の口元はわずかに緩んでいた。
やがて、料理が完成する。
食卓に並ぶのは、
湯気の立つ豚汁、つやつやの白米、漬物、
そして、揚げたての天ぷら。
日帝は一通り並べ終えると、
一瞬だけ迷い、視線をパラオに向けた。
日「……パラオ」
帛「はい?」
日「……お前も、食べていくか?」
一拍。
帛「……え、いいんですか……!?」
ぱっと表情が明るくなる。
隠しきれない嬉しさが、顔いっぱいに広がった。
日「……嗚呼。せっかくだからな」
帛「……じゃあ、お言葉に甘えて……!」
その声音があまりに嬉しそうで、
日帝は思わず視線を逸らした。
――食事中。
帛「……美味しい」
箸を止め、ぽつりと呟く。
帛「日帝さんが作るご飯は……全部、美味しいですね」
柔らかな笑みと一緒に、
何気なく零れたその言葉。
日帝の手が、ぴたりと止まる。
日「……っ」
胸の奥が、ぎゅっと掴まれたようだった。
にゃぽんはそれを見逃さない。
にゃぽん「はいはい〜出ました〜」
日「な、なにがだ!」
にゃぽん「顔。真っ赤だよ〜」
日「なってない!!」
パラオは首を傾げつつも、
少し嬉しそうに微笑んでいる。
食後。
外はすっかり暗くなっていた。
にゃぽん「ねぇねぇ〜パラオ〜」
帛「はい?」
にゃぽん「夜も暗いしさ〜泊まっていけば〜?」
帛「え……だ、大丈夫ですよ!」
日帝は内心ほっとした……はずだったのに。
江戸や日本も口々に「泊まっていけ」と言い、
気づけば流れは決まっていた。
――夜。
にゃぽん「はいはーい! お兄ちゃんとパラオの布団、同じ部屋に置いといたからね〜♡」
日「なっ……!?」
帛「……」
日帝は慌ててパラオを見る。
日「……パラオ、嫌じゃないか……?
そ、その……俺と一緒の部屋なんて……」
少しの沈黙。
帛「……いえ。全然、嫌じゃないです」
静かな声。
帛「……むしろ、嬉しいです」
その言葉に、日帝は完全に思考が止まった。
日「……っ」
どう返していいか分からず、
そのまま布団に潜り込む。
日「……お、おやすみ……」
帛「はい。おやすみなさい、日帝さん」
灯りが消え、
同じ部屋に、二人分の呼吸音だけが残る。
日帝は、目を閉じながら思った。
今日一日で、
“守るだけだった存在”が、
こんなにも近くなってしまったのだと。
――静かな夜が、深まっていった。
続く…
✂︎——————キリトリ線—————–✂︎
おかえりなさい〜
3000文字!結構長めでした。
《リクエストについて》
現在リクエストはお断りしています。今いただいてもお答えできませんのでご了承ください
では、閲覧ありがとうございました!
コメント
1件
最高の物語をありがとう…泣泣