テラーノベル
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ノアがレインの家に居候を始めて一ヶ月が過ぎた頃、やたらと女性客が多くなりレーナは辟易としていた。 だいたいみんなが聞いてくるのは同じで、どこで出会ったのかとか、付き合ってるのかとか、そういう下世話な話ばかりだからだ。
彼女達に悪意がないのは分かっているが、毎度毎度同じことを答える羽目になるレーナからすれば面倒以外のなにものでもなかった。
「レーナ! あんなイケメンどこでつかまえたの!?」
「いや、つかまえたというか、捕まったというか……」
お手つきにされたレーナの方がノアという悪魔に捕まってしまったので、やんわりとそれを伝える。レーナは嘘がつけないのだ。
ノアはそんなレーナにお構いなしで営業スマイルを浮かべながら、毎度同じことをくり返し言った。
「私は旅をしていたのですよ。道中怪我をしてしまい、レーナが助けてくれたのです。そうですよね、レーナ?」
「あ、はい、ソウデスネ」
嘘がつけないレーナはつい片言になってしまうが、ノアに無言の圧に耐えられなくて敬語になってしまう。
レーナは魔女の店に用がある客の接客していると、新たな客の知らせを伝えるベルの音が鳴り、レーナは「いらっしゃいませ」と笑顔になるが、内心「げっ!」と顔を崩した。そこにいたのは村一番の美少女と名高いメイがいたからだ。
メイは優秀な魔女なのだが、事あるごとにチクチクとレーナに嫌味を飛ばすので、レーナは彼女が苦手なのである。
「レインさんのお店に素敵な男性ががいると聞いたのだけれど、それってあなたのことかしら?」
レーナには目もくれずノアに近づくと、己の容姿のよさを理解しているメイはきゅるきゅると瞳を潤わせ、上目遣いでノアを見やった。
「多分そうでしょうね」
いつも人当たりのいいノアが、メイにはつっけんどんな態度で接しているのが意外だったレーナは、いつもならノアに色目使いをする客のそれとなく邪魔をする。
しかし、相手が苦手なメイとなるとそれもできない。ヤキモキしながら二人のやり取りを見ることしかできなかった。
それは、店内にいた客も一緒だったようで、みんな一様にノアとメイのやり取りを固唾を飲んで見つめていた。
中にはヒソヒソと「メイが来たよ」と嫌そうに言う子もいたが、メイはそんな声には無視をしてノアに話しかける。
「ねえ、あなたはどこから来たの?」
「ここから遠いところです」
抽象的ではあるが、間違いではなかった。魔女でないローラとリリスにも言えないのに、魔女であるメイ相手に魔界から来たなんていえるわけがないので、答えとしては正解なのだろう。
レーナは遠い目をして、そわそわしながら二人のやり取りを接客しながら覗き見た。
「私はメイっていうの。あなたは?」
「ノアといいます」
「ノアさん、レーナと恋人というのは本当なの?」
「ええ、そうですよ」
メイにはにこりともしなかったノアだが、レーナとの話題が上がるとレーナのそばまで行き、腰をぐいと抱き寄せて「私達は恋仲なんです」と、美しい笑顔でメイに言ったのだ。
それがなんだか嬉しくて、レーナはノアにしがみついた。
「ノアは私のなの! メイにはあげないわ」
自身があだ名をつけた『ポンコツ魔女』から牽制をされたのが悔しかったのだろう、メイは顔を引き攣らせながら「そ、そう」と一言だけ返した。その顔には苛立ちが乗っていた。
「私にはレーナだけなんです。レーナ以外は要らない」
ぞわりと粟だったレーナは、ノアを見やると恐ろしいほど美しい顔で真剣に言い募った。それは、どこか怒りを感じさせる表情で、メイに言ってのけたのだ。
ノアもまた牽制しているのだと気づいたレーナは、彼の魔族としての一部を垣間見た気がして少しだけ怖くなるが、優秀な魔女のメイはそれだけで何かを感じ取ったのだろう。
「そ、そうですよね、二人ともお似合いだわ」
メイにしては珍しく「それでは、ごきげんよう」とだけ言って、そそくさと店を出て行った。
三人のやり取りを黙って見ていた村の娘達は、優しそうなノアの見知らぬ一面にドキドキしつつも、嫌味ったらしいメイがすごすごと引き下がったのが面白かったので、きゃあきゃあと声を上げた。
「あのメイがすんなり引き下がったわ! いい気味ね!」
「レーナ、本当にノアさんとお似合いなんだから、メイのことなんて気にしちゃだめよ?」
「ノアさんって本当にレーナを愛しているのねえ!」
「ええ。それはもう、言葉にできないくらい愛しています」
にこりとノアが微笑むと、娘達はきゃあ! と再び歓声を上げたのだった。
その日の夜、いつも通りにレーナのベッドで腰掛けながら二人は談笑した。この時間がお互いにとって最もリラックスした時間になるので、レーナはノアにもたれかかるようにして肩を預けた。
「今更だけど、どうしてノアは私以外の前だと敬語になるの?」
本当に今更すぎることを聞かれたノアは、「今更すぎるわよ」と言うが、丁寧に教えてくれた。
「アタシの素が”これ”だからよ。レーナだけが知ってたらいいわ」
素を見せたがらないノアがレーナ(とレイン)には見られてもいいと知って、何度目か分からないときめきに胸がキュンとした。
「そういうところ、ずるいよ」
「あら、褒め言葉をどうもありがとう。淫魔冥利に尽きるわ」
「むー、なんだか悔しい」
レーナはノアにぐりぐりと押し付けるが、ビクともしない身体に改めて男のひとなのだと理解する。
引き締まった身体はレーナだけが知っているし、これからもそうであってほしいと願ってしまう。
レーナは昼間のことを思い出す。
あのメイがわざわざやってきたことには大変驚いたものだ。プライドの高いメイは、魔道具もできるだけ自分で作成し、それでも必要な時だけレインを頼り、魔道具や調合した薬を買いにやってくるのだ。
店番がレーナのみ、それに加えてレインがいない時限定で、ネチネチと嫌味を言ってくるのだが、レインがいる時やレインが会計を担う時は一切言ってこない小賢しいところも含めて苦手だった。
一言えば百で返ってくるレインに挑もうとする輩はいないのである。
だから、最近もっぱら噂のノアを見たくても、因縁の相手であるレーナがいる店にはやって来なかったのだろう。
しかし、面食いでお馴染みのメイが黙っているはずもなく、我慢できなくてやって来たのが丸わかりなのが滑稽である。
お目当てのノアからはつれない態度で追い返され、今頃はらわたが煮えくり返っていることだろう。メイには悪いが少し胸がすく思いだった。
レーナはノアに寄りかかったまま、そっと口を開いた。
「……実をいうとね、私はメイが苦手なの。ノアを取られるんじゃないかと思ってヒヤヒヤした。私のだなんて言って、気を悪くしたならごめんなさい」
「あら、アタシは嬉しかったわよ。レーナがアタシのことを受け入れてくれたんだって分かったから」
頭にキスをしてふんわりと微笑むのはレーナだけ。淫魔であるノアは、こうして人を誑かすのだろうか、だなんて思ってしまう。
いまいち心を全て預けることのできないレーナは臆病だと自覚している。
それが、『ポンコツ魔女レーナちゃん』という、不名誉なあだ名からきていることをレーナだけは気づかなかった。
「もう! そういうところがずるいの!」
「ずるくて結構、悪魔ってそういうものなのよ。さあ、そろそろいつものレッスンやりましょうか」
「……うん」
丁寧に剥かれて肌を露出するレーナは、いつもノアから受ける気持ちや快感に流されてばかりで、少し不服に思っていた。
「ねえノア、いつも私に気持ちいいことばかりするけど、ノアは私からされなくてもいいの?」
「急にどうしたの?」
確かにノアからすれば、いつも受け身のレーナからそのようなことを言われたら、突然どうかしたのかと思うことだろう。
しかし、レーナは昨日の自慰に耽るノアを見て、下腹部からとろりと愛液が出てしまったことを白状した。
「……昨日のノアを見て、私、濡れちゃったの。それって、ノアのえっちなところを見て興奮したってことだよね?」
「レーナ、アタシに興奮してくれたの……?」
だから、今日はノアには受け身になってもらおうと、レーナは閃いたとばかりにノアに言った。
「うん。だから、今日は私がするね」
「え? するってなにを……」
ノアのズボンと下着をずるっと引き下ろすと、まだふにゃふにゃしているペニスがぽろんとレーナの前に曝け出された。
「ちょ、レーナ、何するつもり……!?」
「こうするの」
レーナはペニスの先端にキスをした。
すると、どくんと脈打ち少しずつ硬くなってきて、どんどん屹立していく様子を間近で見て「わあ」と間抜けな声を出した。
「おちんちんってこうやって大きくなるんだね……」
「お馬鹿、言わなくていいわよ!」
「今日は私が可愛がってあげるね」
口の中にペニスをぱくっと含み、舌で鈴口をぺろぺろと舐めた。口を窄ませて搾り取るように吸い、どんどん大きくなるペニスにレーナは満足した。
「レーナ、無理にしなくていいの、よ……!」
気持ちいいのか、呼気が上がり言葉もいつも通りスラスラと話せなくなっているノアに、レーナは嬉しくなった。
初心者で何もかもが初めてのレーナは、きっとこの行為もうまくないのだろう。
ペニスの裏側を舐めたり陰嚢を揉んだりと、耳年増になっているレーナは聞きかじったことを挑戦した。
むくむくと大きくなっていくペニスのせいで、口の中はいっぱいになる。端から唾液がこぼれ、じゅぼじゅぼと下品な音を鳴らしながら口を動かし上下に扱く。
前までのレーナなら、恥ずかしいし汚いしで絶対できないと思っていたが、ノアだけは別だった。ノアのペニスからは男のにおいがするが、決して不快ではない。
先走りでレーナの口の中を汚される。
口に含みきれないところは手で上下に扱き、ペニス全体を可愛がってあげると、プルプルと震え出しレーナの口の中には白濁が注ぎこまれた。
咽せそうになるにおいは確かに鼻をつんとつくが、やはり不快ではなかった。そのままごくんと飲み込んで、再びノアを驚かせる。
「レーナ、あなたって子は……! もう、いいから吐き出しなさい!」
レーナの口元にティッシュを当てがうが、既に飲み込んでいるレーナが欲しいのは、ティッシュではなくて水なのだ。のどに引っかかりような感じがするので、水が欲しいのである。
「お水ちょうだい」
「分かったわ」
ベッドサイドに置いてある差し水からグラスに注いで、ノアはレーナに飲ませてやった。
「もう、無理しなくていいのに……」
「無理なんてしてないよ。ノアだから、してあげたいと思ったの」
「レーナ……!」
レーナの気持ちを汲み取ってくれたのか、それ以上レーナの奇行については言及しなかった。
そして、ノアは先ほどまでフェラをしていたレーナの口にキスをしてくれたのだ。
舌を潜り込ませ、歯列をなぞり、舌同士を擦り合わせる。
「ひどいにおいね」
「でも、私、嫌じゃないよ?」
「……はあ。そういうところよ、レーナ」
そう言ってノアは再びキスをした。
ひどいにおいと嫌悪感を示していたくせに、フェラをしていたレーナとのキスは嫌がらないんだと嬉しくなる。
それから二人はお互い満足し合うまで口付けを重ねた。