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ノアが居候を始めて二ヶ月近く経った頃、ノアと談笑するために来店する客がそろそろ鬱陶しくなってきたレインは、店の看板に貼り紙をつけたのだ。
<商品購入目的以外の客はお断り>
それを見たほとんどの客は、レインが冷やかしのために来ていることを怒っていると理解して、ノア目当ての女性はすごすごと引き返した。
魔女の怒りを買うということは、二度と魔道具と薬にありつけないということになる。この村にもレイン以外に魔女はいるが、彼女ほど素晴らしい魔道具や薬を作る者はいないので、みんなレインの逆鱗に触れることを恐れているのである。
だったら最初からノア避けをすればよかったのでは? とレインに言ったレーナだが、彼女からすればノアという村以外の男が居候として滞在していることに大して不信感を抱かれないようにするためと言われ、ようやく納得した。
ノアに絡む客がいなくなったおかげで、薬を買いに来ていた常連のお客からは、「ノアくんは人当たりがよくていい子なんだけど、村の娘達がなあ……」と苦笑いをしていたので、レーナはレインから聞かされた上記のことを思い出し、レインの作戦勝ちだなと改めて思わされた。
レインの調合する薬はよく効くと評判であり、わざわざ隣の村から買いにくる者もいるのだ。魔女は素質がないとなれない上に、医者にかかると高額な料金を請求されるので、ちょっとした怪我や体調を崩した時は魔女の方が頼られることが多い。
もちろん、金持ちや貴族、王族などはお抱えの医者はいる。彼らもお抱えの魔女が欲しいと常々思っているのだが、何分魔女はみな一様に気難しい性格をしているため、たとえ金を積まれても魔女としての仕事を最優先に考えるので、滅多にお抱え魔女になることはないのだ。
レインもかつてはそういった話が舞い込んできたそうなのだが、全部突っぱねて生まれ育ったこの村で魔女として生業をしている。
レーナはそんなレインに憧れており、魔女になる素質も奇跡的にあったため、この地域で一番大きな町の魔女学園に入学して、どうにか卒業したのだ。
基本的に魔女になるにはそれなりに魔力が必要になる。数値が低くても、低いなりに魔力の使い方をコントロールすれば、少ない数値でも魔道具を作ることができるのだ。
レーナはレインと違い魔力は低いのだが、このコントロール力が優れているので、レインほどではないにしろ、商品として売り出せる魔道具を作り店頭に並んでいる。
「レーナちゃんも成長したねえ。いつも助かってるよ、ありがとう」
「レーナもレインさんの後を継ぐんだろう? 頑張っておくれよ」
励ましの声をもらえることが嬉しいのだが、レーナはお手つきになった娘だ。いずれは魔界へと嫁ぎに行かなければならない。それを言うわけにはいかないので、レーナは「そうですね」としか言えなかった。
レーナは自分の祖母であるレインの店が好きだ。だからこそ残したいと思っているし、できることなら継ぎたいとも思っている。
だが、いくら優しいノアでもそこまでのことは許容してくれないだろう。
それが寂しくて、また、悲しかった。
ノアとは心の距離がありすぎるのだ。
悩んでいても仕方ないと気持ちを切り替えたレーナは、裏方にもぐりレーナとともに魔道具を作ったり薬の調合を始めた。
それを複雑そうな眼差しで見つめる二つの視線には気づかないまま──。
夜になるといつものレッスンが始まる。
触れ合いがどんどん増えていき、身体中で触れられないところを探す方が難しいほど、それはもうどろどろに愛されて、レーナはいつもくたくたになるのだった。
身体中の至るところにキスを落とされ、舐め回され、愛撫されたりと、かなり丁寧に愛されていると思う。
「今日はギリギリまで責めていいかしら」
「ギリギリ?」
「素股させてちょうだい」
耳年増のレーナは、経験こそなかったが村の娘達から聞かされて知識だけは豊富にあったので、それはもう疑似セックスであることを理解すると同時に、今までの触れ合いも前戯で本番はしたことがなかったなと思い出した。
「レーナ、足を閉じて」
「ん……」
レーナの太ももにペニスを差し込んで、まるで本当にナカを抽送しているかのように前後に動くノアに、レーナはひたすら翻弄される。
亀頭がクリトリスに当たり、ずちゅずちゅと卑猥な音が部屋に響く。
「ノア、気持ちいい……!」
「ん、アタシもよ、レーナ……」
ぐずぐずに溶かされたそこに今にも入ってしまいそうなのに、ノアは器用な動きをしてナカに挿入されることはなかった。
これまで何度もぐずぐずになるまで溶かされたが、ノアはそそり立つ自身ををレーナの蜜口に入れることはしなかった。
それがもどかしく感じたが、最後までしてとは恥ずかしくしてとてもじゃないが言えないレーナは、なぜここまで苦しくなるのかようやく気づいた。
それは、ノアのことを本当に好きになってしまったからだ。
「ノア、ノア……!」
気持ちよくて、ただひたすらノアの名前を呼ぶことしかできない。
それからほどなくして二人は果てた。ノアはレーナの背中に白濁を吐く。それをタオルで拭い、清潔にしてあるタオルでレーナと自分を拭いたノアは、心ここに在らずのレーナに気づいているのか、ただ触れるだけのキスを一度してから布団に潜り込んだ。
レーナも眠るべくベッドにごろんと横になり、くたくたになった四肢を投げ出した。
今まではノアとレインの三人で過ごすことに楽しさだけを感じていたが、村人達からの言葉を受けて、レーナの置かれている状況は極めて稀なのだと気付かされたのだ。
ノアとともに魔界へ行くとなると、レインの店はどうなるのだろうか。
レーナはどちらも好きだし、どちらか片方を選べるほど大人になりきれていなかった。
ノアに着いて行くことは決められた運命で、どうしたって逃れようはない。
しかし、そうなればこの店はどうなるのだろうか。レインが儚くなってしまえば、後継ぎの魔女はいなくなり、取り壊されるかもしれない。
生まれ育った家がなくなるのはとても悲しいことだが、それはどうすることもできないのだと実感する。
今はまだ、この宙ぶらりんのまま、ぬるま湯に浸かって何も考えずただ楽しいことだけを考えていたい。
そして、いつか話せる日がきたら、ノアとレインに今後のことを相談しよう。