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ジリ、と肌が焼ける凄まじい熱と痛みが襲う――そう身構えた瞬間。
視界が、ぐにゃりと反転した。
(……ここは、どこだ?)
肌を焼く熱風も、白虎たちの叫び声も、すべてが一瞬で遠ざかっていく。
気がつけば、煌はどこまでも続く、冷たい漆黒の闇の中に立っていた。頭上には赤黒い神威の残滓が不気味に渦巻き、足元からは、ねっとりとしたヘドロのような「穢れ」が這い上がってくる。
どこを見渡しても出口はない。まるで、あいつ自身が自分を閉じ込めるために作った、頑丈な檻のようだ。
その闇の真ん中で、朱雀が一人、膝を抱えて蹲っていた。
「朱雀……っ!」
『なぜ、……来た……? 此処はお前の、来るところでは、ない……っ』
朱雀の、掠れた声が闇に響く。黄金の瞳は虚ろに濁り、黒い泥が涙の跡をなぞるようにその頬を伝っていた。
『はやく、此処から……出るのだ』
煌は闇の中で足をもつれさせながら、必死に朱雀へと手を伸ばした。
「何言ってんだよ。助けに来てやったから、お前も一緒に……! くそっ、なんだよ此処。どっちが地面かわかんねぇし、この重苦しい空気のせいで身動きが取りづらいっ!」
もがけばもがくほど、足元の黒いヘドロが重く煌の自由を奪っていく。
だが、煌は構わず朱雀に向かって手を伸ばし続けた。少しずつ距離が縮まっていくたびに、朱雀の記憶の断片――数百年もの間、たった一人で国の理不尽と穢れを飲み込んできた孤独と、煌を騙していたことへの深い罪悪感が、ノイズのように脳内に直接流れ込んでくる。
(あいつ、こんな想いで、ずっと俺の隣にいたのかよ……)
嘘を吐かれていたと知ったとき、怒りに任せて突き放してしまった。「俺を囮にしろ」なんて、酷い言葉で傷つけた。もっと早く朱雀の孤独や苦しみに気づいていれば。もっとちゃんと向き合っていれば、こんな形で暴走することなんて、なかったはずなのに。
『……わしはもう、終わりだ。毒も、穢れも、もう抑え込めぬ身体になってしまった。此処に居ればお主まで巻き込んで、焼き尽くしてしまう……。だから、わしの事はもう放っておいてくれ……っ』
それでも、どこか寂しそうに微笑む朱雀の身体を、黒い穢れの枷がさらに締め付けていく。
「くそっ、何弱気になってんだ! どうしてお前はそうやって、一人で抱え込もうとするんだよっ! 俺を巻き込む? 上等じゃん。もう既に腹いっぱい巻き込まれてるんだ。最後くらい、巫女らしい事させろっての……!」
煌は足元の黒いヘドロを力づくで踏み越え、朱雀の手首を、強く掴んだ。
コメント
1件
かんなさん、最新話読みました!😭✨ 朱雀の孤独と罪悪感がずしんと来た…「もう終わりだ」って言うけど、煌が「上等じゃん」って掴みに行くシーン、熱すぎて涙腺崩壊しました…!🔥💦 あの漆黒の檻の中、もがきながら手を伸ばし続ける煌の姿が脳裏に焼きついて離れない…! 嘘をつかれても、それ以上に朱雀の苦しみに気づけなかった自分を責める煌の心情、刺さりすぎました…。次、どうなるの!? 早く続きが知りたいです…!!🌸