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「頭を強く打っているため、完全に回復するかどうかは断言できません」
部屋に沈黙が流れる。
「いつ目を覚ますかも、わかりません」
それから、と医師は続ける。
「それから、桃さんはおそらく、誰かに突き落とされたと思われます」
え?と思わず聞き返す。
全て聞いた。
桃くんがおそらくいじめにあっていたこと。
毎日毎日、暴力を振るわれていたこと。
暴言を吐かれていたこと。
身体中にあざや自傷行為の痕があったため、その可能性が高いと医師は言った。
僕が知っていた桃くんは、僕の想像の桃くんだった。
本当は違ったんだ。
完璧な人間なんかじゃなかった。
その時初めて、僕は知らず知らず、桃くんを傷つけてしまっていたのだと気づいた。
その日は、ショックと罪悪感でなかなか眠ることができなかった。