テラーノベル
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「シャーリー、君……私まで騙していたのか!? 私は、私は君に唆されただけなんだ!」
自分への非難を恐れた王太子殿下は、速攻でシャーリーさんの腕を振り払いました。そして、掌を返したように私の元へ駆け寄ってきて、床に膝をつきました。
「リリアーナ! 済まなかった、婚約破棄は撤回だ! やはり私が愛しているのは君だけだ! さあ、その鏡を持って私の隣へ戻ってきてくれ! 君なら許してくれるだろう!?」
殿下は、私のドレスの裾に縋りつこうと必死です。
私は、そんな殿下をじっと見つめて……ふわりと、いつものように首を傾げて微笑みました。
「……あの、殿下。失礼ですけれど、どちら様でしたっけ?」
「え……?」
「鏡さんも、フォロワー様も、『この人、撮れ高がないからもう映さなくていいよ』って仰っていますの。殿下のお顔、もうアーカイブにたくさんありますから、お腹いっぱいですわ。さようなら、通行人の殿下」
私が天然に、でもバッサリとそう告げると、殿下は石のように固まりました。
そこに、ゼノ君が冷たく言い放ちます。
「……撮影終了だ。二度とリリアーナ様の画角に入るな、ゴミめ」
ゼノ君の放つ圧倒的な殺気。そして、全国放送されてしまった自らの醜態。
王太子殿下とシャーリーさんは、警備兵に引きずられるようにして、絶望の叫びを上げながら舞台を下ろされていきました。
「ゼノ君、なんだかスッキリしましたわ。皆様、今日の配信はここまでです! また次回のライブでお会いしましょうね!」
私がカメラに向かってピースサインを送ると、最後の一押しと言わんばかりに、山のような金貨が降り注ぎ、会場は祝福の嵐に包まれました。
「……リリアーナ様。次はどこへ行く?」
「そうですわね。世界中の『映え』を探しに行きましょう、ゼノ君!」
私の横には、誰よりも頼もしい、世界一のカメラマン。
リリアーナ・チャンネルの冒険は、これからもずっと続いていくのでした。
(完)
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