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うみうし@ロシアとカナダ推し
#カンヒュ
いちごマシュマロ🍓
904
かきごおり。
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#イラスト
電波📡
286
特になにも言うことはない!!!!以上!!!!!!
どんな日も、どんな時も、おれに休みはなかった。当たり前かもしれない。
復興に、国際問題に、元自領の国々のいざこざに、視野に入れねばならないことが、たんまりあった。
仕事は、おれに一言でも、疲れただなんて言わせてくれなかった。いや、おれが、そんなこと言いたくなかった。
疲れたと言いたいのを、精一杯喉の奥に押し込み、今、自分より苦しい思いをしている人のことを思って、笑顔を作った。
きっと上手くできる。成し遂げられる。自分にそう誓って、着実に前へ進んでいた。
おれは、一切、くじけなかった。
でも、自分ではどうしようもないことだって、いくつもあった。海外と結んだ条約に阻まれたり、そもそもが外にある問題に悩まされたり。
今だって、こうして事務所でどうにもできないことについて、嘆いている。
「あ”〜!もうさぁ、朝鮮半島に、いやどこでもいいけどさ!!元朝鮮人、移住できる国作らない!?
うちにどれだけの朝鮮人がいると思ってんだよ!!!そいつらの行き場所も生き場所もないじゃん!!!!」
酒を浴びるような気持ちで、おれは熱いコーヒーを、思いっきり飲みこんだ。
「熱っ!もうやだ!!」
もういっそのこと、仕事を放棄してやろうか。もしかしたら、本当にそれがいいかもしれない。いやいやいや、そんなことあるか。
「それにしても、どっかで休もう……もう忙しいったらありゃしない……憲法改正したら、もう楽になれるかと思ってたんだけどなぁ……。
沖縄は返還されないし、GHQは出て行かんし」
気分転換にと、ふらふらと事務所を出ようとしたところで、事務所の電話が、 運悪くジリジリと鳴った。
乱暴に受話器を取り、耳に押しあてる。
「もしもし?」
「え、あめりかさん?どうなさったんですか?」
「…………えっ……?」
「スゥゥゥゥッッッ…………」
家に帰るやいなや、おれは勢いよくソファに飛び込んだ。父の代からそこにあった、古いソファは、ギシリと音を立てて沈んだ。
常に家にいる祖父に、「おかえり」と声をかけられても、おれは反応しなかった。
「なにかあったのかえ?」
冷たい麦茶を持ってきてくれた祖父が、怪訝そうに言った。
「うん……ようやくさ………」
おれは、幸せにひたって、天を仰いだ。いや、天はないな、天井を仰いだ。
そして、大きく息を吸うと、大声で叫んだ。
「ようやく、朝鮮人を逃がすところができたんだ!!!!!朝鮮半島に!!!!!!」
「彼らをもといた場所に、引き揚げさせることができるんだ!!!!!!!!!!!!!!」
38度線へ行く道を、二つの人影が歩いていた。
もう風は冷たくなり、黄昏時は、まるで冬のように冷えた。
寝床を探すカラス達が、けたたましい声で鳴き交わし、二人の上空を飛行した。
「まさか、お前が38度線に行きたいなんて言うとは、思ってもいなかった」
「気の所為だ」
支配者の言葉に、おれは言い訳のように答えた。
おれだって、行きたくて来たわけじゃない。ただ、暇なのが嫌だっただけだ。
それに、あわよくば、自分のやりたいことに、一歩近づけるかもしれないと思ったからだ。
ぐっと、無意識に拳を握りしめた時、ぽんっと肩を叩かれた。
「見えてきたぞ。38度線だ」
はっとして顔を上げた瞬間、ぶわっと、氷のように冷たい風を受けて、おれは咄嗟に顔を庇った。枯れ枝がいくつか、顔を庇った腕にぶち当たった。
風が耳元で、唸り声をあげて去った後、再度吹きつける風を恐れながら、おれはゆっくりと顔を上げた。隣でソ連も、伏せていた顔を上げた。
そこには、恐ろしい轟音を立てて流れる、一歩の川があった。それは、38度線を横切る、太いとも長いとも言えぬ川だった。
暗闇の中でも、あまりの勢いの強さに、泡が渦巻いているのが、よくわかった。
いつぶりかに見た、水の煌めきに、おれの体は興奮することも忘れて、ただそれだけを求めた。
「………川だ。……久しぶりの水だ……」
「飲んでこいよ」
呆然と呟いたおれに、ソ連は少し笑いを含んだ声で、水へ行くのを促してくれた。
川の水面が、ぴかりと、 ソ連の手の灯りを反射するのを見た瞬間、おれは凍るように冷たい水の中に、首ごと顔を突っ込んでいた。
肌を突き刺すような冷たさと、久しぶりの水分に、まるで生き返ったかように感じた。そのまま、川の水を全部飲み干すかのような勢いで、がぶがぶと冷たい水を飲んだ。
からからに渇き切っていた喉に、冷たい水が流れこみ、これまでに味わったことがないほど美味い水だと思った。
ソ連が隣に立ったのを感じて、おれは袖で口を拭って、立ち上がった。
「この川を挟んで反対側が、アメリカの占領地だ」
ソ連の言葉を、おれは遠くで、ぼんやりと聞いた。
この川、38度線を越えたら、もうそこは、おれの地じゃない。兄の地だ。
もう、心の中では捨てたはずの、兄への想いが、胸の奥に溢れた。
束の間、目から涙が溢れそうになったが、おれはぐっと押しとどめ、足元の小石をいくつか拾って、思いっきり反対岸へ投げた。
兄の地へ、すさまじい速さで飛んで行く小石達を、おれはスローモーションで見ているように、じっと見つめた。
「兄に石を投げつけるなんて、嫌な弟だな」
ソ連が、興味なさげに呟いた。その言葉に重ねるように、おれは、きっぱりと言った。
「………もう、おれは兄なんて捨てた」
「兄を捨てたら、次どうするんだ?」
「武力南進だ」
前々から、ずっと考えていたことを、おれは、いとも簡単そうに言った。
「へぇ。そんなことするのか」
「………できるか、できないかじゃないんだ、おれは」
さっきまで、飛び行く小石があった宙から、おれは目を離し、隣で佇む、 新たなる支配者の目を、 真っ直ぐ見た。
「おれは、やるか、やらないかなんだ」
彼の声が、なにもない水辺に響いた。
精悍な顔つきの、少年とも青年ともつかない、だが若い小国を、極北の大国は、なんとも言えぬ顔で見つめていた。
北の方からやってきたカラスの声を聞きながら、 おれは一人、机に山のように積み上げられた資料を見て、気が遠くなった。
「な、な、何これ……?どういうこと…………?????」
高くも安くもなく、だが粗末な宿に放りこまれた後、政治について知っておくのは、悪いことではな いだろうと、アメリカから大量の資料をもらった。
最初は、興味こそわいたが、いざ読んでみれば、興味なんかで解読できるような生優しいものではなかった。
よくよく考えてみれば、何十年間も誰かしらに政権を奪われぱっなしで、この生涯で滅多に政を行ったことがなかったので、そこに書いてあることなど、そもそもわかるわけがない。
税率?軍事?国民制度?言葉だけ聞いてきただけのものが、ありえないほどたくさんある。
アメリカに聞こうにも、用事があると言って、出て行ってしまった。
あやつは、なんと厄介なお邪魔虫であることだろう。ふらっと現れて、ふらっと出て行くとは!!
本当に、親の顔が見たい。 ……いや、やっぱり見たくないかもしれない。いや、もう金輪際、あれの顔は見たくない。
それにしても、イライラすることには変わりない。
おれは、むかむかする気持ちを抑えられず、気分転換に、秋の深まった外へ出た。
そのころはもう、日が傾いていた時であり、外を歩いているうちに、空はどっぷりと藍色に染まってしまった。
でも、ここら辺の道だけは、目を瞑っていても、道を辿れるほどに覚えている。
なにせ、戦争が終わったばかりのころは、ここら辺で座って夜を越していたはずだからだ。
しばらく歩いていると、一本の川に出た。
滝壺並の、すさまじい水音を立てて、流れている。
あまりにも流れが急で、濁流に身をおどらせた木の葉が、光のような速さで下流へ流れていった。
こんな川が、こんなところにあったかな、と、ふと記憶を辿った時、おれは、あることに気がついて、足がすくんだ。
恐る恐る、対岸に目を向ける。遠くの方で、揺れ動く電灯の光が、草地に反射して見えていた。
ああ、なんでわからなかった?なんで思い出さなかった?ここがどこだか。
ここは、38度線じゃないか。
ということは、反対岸には、共産軍がいて……弟も………。
帰らねば。でも、ここにいれば、あわよくば弟が生きているか、わかるかもしれない……いや、だからってこんな場所にいてたまるか。ここにいるよりは、確実に、宿に帰った方がいいだろう!
恐怖や興奮が入り混じった、ぐちゃぐちゃの感情のせいで、がくがくと震える足を、おれは一歩一歩元来た道へ戻した。
その時突然、ピュロロロロロロロロロロっと、耳をつんざくような笛声が、辺りに響きわたった。共産軍が、時折鳴らす、笛の音だった。
びくりと体が震え、かくっとひざが抜けた。
慌てふためき、走り出そうとしたその瞬間、反対岸で、かさりと草を踏む音がした。
ぱっと振り返ると、他よりわずかに、こんもりと盛り上がった草地の上に、黒い人影が見えた。
その人影を見た瞬間、おれは恐怖もなにもかも忘れて、呆然と立ちつくした。
それは、よく見慣れた形の人影だった。
それは、いつも、隣にあった人影だった。
「…………………北」
「………南」
彼の持っていた灯りが、その顔を写し出した。
その右眼には、赤い星の、眼帯があった。
おけぇり〜軽く4000字いってて泣いちゃう。あと最後怖すぎん??????
詳しい解説↓説明力皆無よ。
日本からの朝鮮人の引き揚げは、アメリカさんが色々やってくださいました。なんか色々めんどくさいこと言ったみたいだけど。
川は実際に38度線にあって、イムジンガン(?)とかそんな名前の川があるらしいです。ただですね、とても反対岸で誰かが草をふむ音が聞こえるぐらい細い川じゃないですよ?ふつうに馬鹿太いです。
この話を読む時は、想像で細い川にしてやってください。お願いします(切実ここに極まれり)。
共産軍の笛は架空です。話の展開的にほしかった()
でもこういう笛ありそうよね(*´ー`*)
たしか我が家(わらい家のご先祖様のことね)は、この引き揚げでは朝鮮に帰らなかったはず。
北朝鮮が、「陸の楽園だよ、おいで〜」って言った時に北に移住したはずだから。祖母は日本にそのまま帰化したけど。
修正する可能性大。
コメント
2件
うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!好きだっっ!!! 特に最後の終わり方がめっちゃ好き!!!もちろん全文字好きなんですけど… こういう終わり方がありえんほど好きなんですよ……!!!! 本当に書いてくれてありがとうございます♡♡
おおわらいさん、第5話読ませていただきました…! 38度線の川の描写がもう、息苦しいほど生々しくて。水を飲むシーン、渇き切った喉に染みる冷たさが伝わってきて、思わず自分も喉をゴクッと鳴らしちゃいました。 「兄を捨てた」って言い切る南の強さと、その直後に小石を投げる子どもっぽさが同居してて、胸がぎゅっとなりました。 最後の対岸の人影…眼帯の赤い星。これは続きが気になりすぎます…!