――翌日。
「……というわけで、新しく生徒会に”相談役”として夏城赤奈さんを迎えることになりました。学院での困り事があったら彼女になんでも相談してくださいね」
月に一度の生徒会主催全校集会。
爽やかな笑みでマイクを握る会長こと冬星に震えが止まらない。
表向きは相談役、その実態は雑用係。
「えーっ! 羨ましい!」
「あの生徒会に入れるなんて……何が秀でている方なのかしら?」
「親が有力な財閥とか?」
すみません、何も秀でてないし”親”はすごく立派で患者に優しいけど普通の看護師なんです。
「そういえば夏城赤奈って、入学時の寄付金ランキング入ってたよな」
「夏城とか聞いたことない名前だけど、財力あるんだ?」
「いやーでもバイト掛け持ちしてるって噂だし……」
「どういうこと???」
ふと耳が拾った噂に、自然と歯の奥をギリッと噛んでいた。
“あの男”の話はもう思い出したくなかった。
私の父親は――。
「それでは夏城さん、みなさんに一言意気込みを」
「えっ、あ……!」
横を向くと、爽やか王子スマイルで威圧をかける会長。
やばい完全に意識トんでた……。
というか、意気込みとか聞いてないんですけど!?
お前はただ間抜け面晒して突っ立ってろって言いましたよね?!
うわ全校生徒に見られてるし何か言わなきゃ……!
「はじめまして、1年C組の夏城赤奈です! 皆さんの困り事をお助けしたいと思って生徒会に入りました!(ウソ) 先生も生徒の皆さんもお気軽にご相談ください!(ウソ) ドーンと赤奈にお任せあれ〜!」
……ってあれ?
なんかシーンとしてるような……?
「ふふふ、とても熱心な方なのねぇ」
「つーか悩みなんて全部執事が解決してくれるのに、必要ある?」
「あんなに叫んで……品のない」
お、思ってた反応と違う……。
もっとこう、うぉぉぉ生徒会メンバー爆誕!頑張れー!とかそういうの期待してた……。
「あ、まぁ……そういうことなんで……」
若干尻すぼみになりながら、とぼとぼと舞台袖へ向かう。
なんかもう駄目そうかも〜〜〜学園生活〜〜。
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