テラーノベル
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血と錆の匂いが混じり合う「FORSAKEN」の廃線跡。
黒猫の獣人キラー・Gatitoは、線路の陰でニヤニヤと悪賢い笑みを浮かべていた。
背中に魚の骨柄が入った黒パーカーのフードを深くかぶ直し、トゲ付きの首輪と腕輪をジャラジャラと鳴らしながら、足元に巨大な金属製の罠を設置している。
「へっ、今度こそあのクソ生意気なドブネズミを叩き潰してやる……!」
Gatitoが用意したのは、サバイバー捕獲用の凶悪な大型ネズミ捕りトラップ。
強力なバネと鋭い鋼鉄の歯を備えた代物だが、Gatitoはそこに一工夫加えていた。
中央の仕掛け部分に、わざわざどこからか調達してきたチーズを仕掛けたのだ。
「ネズミならチーズを見たら見境なく飛びつくに決まってやがる。俺様の完璧な作戦に恐怖しやがれ!」
緑のドミノクラウンの奥で赤い眼を輝かせ、Gatitoは近くの大型コンテナの陰に身をひそめた。
数分後、足元を軽快に鳴らしながら、白い毛並みの人型ネズミ・Ratが姿を現した。
赤い服に白衣を羽織り、右手に黒手袋、左手に赤手袋を装着した狂気の科学者だ。
頭上のヘルメットとサングラスを軽く指で押し上げ、長いピンクのしっぽをゆらゆらと揺らしている。
Ratは設置された罠の前でピタリと足を止めた。
コンテナの影でGatitoが「かかった!」と爪を握りしめる。
しかし、Ratは恐怖するどころか、サングラスの影から呆れたような溜め息をついた。
「やれやれ……力学的なテコの原理も、バネの金属疲労度も考慮されていない酷い出来だ。おまけにこのチーズ、僕の嗅覚を舐めているのかな? 合成着色料と低品質な油脂の匂いしかしないよ。こんな古典的な罠に僕がかかると本気で思っていたのかい、Gatito?」
「なっ……なんでバレてんだよッ!?
我慢できなくなったGatitoがコンテナの陰から飛び出し、緑の大きな爪をシャキーンと立ててオラついた。
「ガタガタうるせぇ! 罠が見破られたなら直接ぶっ殺すまでだ!」
Gatitoは勢いよく地を蹴り、強烈な跳躍でRatへ襲いかかった。
だが、Ratは落ち着き払った動作で左手の赤手袋を掲げ、ポケットから取り出した極小の電導ピンを罠のセンサー部分へ投擲した。
Ratの科学的知恵によって瞬時に電子回路が書き換えられ、トラップの指向性が逆転する。
「なっ――うわあああぁぁッ!?」
宙で攻撃姿勢をとっていたGatitoの足元で、強力な高周波磁場が発生。
Gatitoが身につけているトゲ付きの金属製腕輪と首輪が強力に引き寄せられ、ガチャンッ!!と大きな音を立てて、Gatito自身が自分の仕掛けたトラップの檻へと強引に拘束されてしまった。
「くっそ……離せ! 離せよこのバカ罠! なんで俺がかかってんだよ!」
緑の爪を振り回して暴れるGatitoだったが、磁力と鋼鉄の鎖でガチガチに固められ、指一本動かすのがやっとの状態に陥る。
「フフフ、自分の仕掛けた罠に自分でかかるなんて、実に可愛らしいおバカさんだね」
Ratは白衣の裾をなびかせながら、ゆっくりとGatitoへ歩み寄った。右手の黒手袋でGatitoの顎を軽くすくい上げ、逃げられないように固定する。
「な、なんだよ……離せよドブネズミ……!」
強がりながらも、近すぎる距離にGatitoの赤い眼が動揺で大きく揺れる。
Ratはヘルメット上のサングラスをクイッとずらし、至近距離からGatitoの顔を覗き込んだ。
息がかかるほどの距離で、Ratの赤い瞳が狂気と熱を帯びて爛々と輝く。
「暴れれば暴れるほど、その透ける胴体の奥で心臓の鼓動が早くなり、美しい肋骨が滑らかに軋むのが見えて素晴らしいよ。……ふむ、実にいい実験対象(検体)だ」
「ひっ……! て、てめぇ……顔がけっこう近いんだよ……ッ!」
普段のオラオラな態度はどこへやら、拘束された黒猫は鼻を真っ赤に染め上げ、耳をペタリと寝かせてタジタジになるのだった。
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