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今日、先生が笑ってた
俺じゃない奴に笑ってた
チャイムが鳴る少し前俺は教室の外の廊下に立つ。理由なんてない。いや、あった
先生の声が聞こえたから
「この前のレポートよかったよ。すごく努力したんだね」
そう言って先生は笑った
その相手はクラスの女子の吉田
あの女、やたら先生に近づく
調子に乗った口調で
「先生ーやだー」
とか言ってるのを何度も見た
ぶっ環してやろうかと思った
先生、俺気づいたんだ
心臓って、怒りで震えるんだね。漫画みたいな比喩じゃないよ。ほんとに震える。息が詰まるほどに
その日の放課後、吉田の机に仕掛けをした
ほんの少し、汚れた写真を入れただけ
俺の中では注意のつもりだった。これ以上先生に近づくな、っていう
次の日、教室がざわついていた。
誰かが泣いている
誰かが騒いでいる。
俺は、知らないふりをした。
どうでもいい。俺には、先生がいればいい
でも、
「翡翠くん、ちょっといいかな…」
その日の放課後、 職員室に呼ばれた
先生の声は変わらず優しかった。でも、目が少しだけ鋭くなってた。
「吉田さんのこと、なにか知らない?」
「俺がやったって思ってるの?」
「…そうじゃないよただ気になってただけなんだ」
嘘だ。先生の顔は教師の顔をしていた。俺のことを生徒として見ている目。
それがたまらなく気に食わなかった
「俺、先生のこと好きなのに」
その言葉に、先生は困ったように目を伏せた
「…そう言われても困るよ。先生は教師で、君は生徒だ」
「じゃあ生徒じゃなくなったら、抱いてくれるの?」
沈黙
先生は目を見開いた後、無言で立ち上がった
「翡翠くん、今日は帰らう。話はまた今度」
優しい
変わらず優しかった
だから復が立つ
俺を拒絶しながら、そんなふうに笑うな
帰り道、俺は手を切った
ポケットに入ってたシャープペンの芯を、強く握りすぎて、血がでると、少し安心する
ちゃんと使の中に感情があるって、確認できるから
先生が他の人を見るたびに、俺の中のどこかが壊われていく
その破片がいつかきっと先生を貫くその日まで、
俺は、
笑って待ってる