その1 - ンは 「あ、お目覚めですか?」 目を覚ますと見知った天井が目に入った。 上半身を起こしたままぼうっとしていると、突然部屋の扉が開き入ってきたのは、よく見慣れた女性だった。「……アシュリーさん」「はい、あなたの専属メイドのアシュリーです♪」 ゲーム世界のモブとして転生したから楽しみたい!! - に・か・ん♪(前編) - ん~…ここはどこなんだ?-『目が覚めたら見知らぬ場所』より抜粋 俺の名前は佐藤太郎。どこにでもいるごく普通の高校生だ。え?普通じゃないって?まぁ、確かに人よりも少しだけ他人と違うところはあるけれど、普通の人間の範囲内だと思うよ俺は。そして今、俺は自分の部屋にいるわけなのだが、ここが本当に自分の部屋なのかは分からない。というのも、俺の記憶には全くと言っていいほど自分のものらしき記憶が一切ないからだ。つまり記憶喪失というやつだ。いやまてよ、もしかしたら記憶を消されている可能性だってあるわけで…なんてね、そんなこと有り得ないよね。というかむしろそうであってほしいものだね。うん、きっとそうだ。だってこんな非現実的なことなんてそうそう起こる訳がないのだから。でもそうなると困ったなぁ。俺ってば身寄りもないし一人暮らしだし住む家もないわけだし、このままじゃマジで路上生活になっちゃうじゃんかよ。それに服とかも全然持ってないしどうすんべかな。はぁ~もうなんか一気に不安になってきたぞぉ~……… 「……あのー、大丈夫ですか?」「…ッ!?あぁ、ごめんちょっと考え事してて」「…もしかして、私が来たことにまだ気が付いていなかったのですか?」 俺がそう言うと彼女は驚いたように目を丸くする。あれっ?どうしたんだろう。そんなに驚くような事言ったかなぁ?っていうか今気が付いたけれどこの部屋すごく良い匂いだな。花の匂いっていうの?女の子特有のいい香りが部屋中に漂ってるんだけど。「…鼻の下が伸びまくってますよ」
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