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とある国にて、
長年着古していると分かる騎士服を身に纏っている青年達が歓喜の声を上げていた。
それぞれの表情には、疲労感が漂っている。
けれど、それぞれの心の中は、達成度で満ち足りていた。
「アーサー、やっと国に帰れるな。愛しい奥さんが待ってるんだろう?」
「奥さん?」
「ほら、リディアだよ。フレデリックが言っていたぞ。婚姻届がどうのって。卒業してすぐに駆り出されたから、お前結婚式もしてないだろう」
「あぁ、婚姻届ね」
「まぁ、とにかく、元気でがんばれ!」
「ありがと」
アーサーはこの7年間共に過ごした仲間と抱き合い、別れの挨拶を交わす。
一時は捕虜として捕縛され孤島に送られていたが、すぐに解放された。
解放されたものの、その後もトラブルに巻き込まれたり、助けてくれた村の荒れた地を開墾したり、なんやかんやと各地を転々とするはめになった。
そうして、先日やっと自国軍に保護されたのだ。
これでやっと、帰れる。
フレディとリディアはどうしているだろうか?
こんなことになるのなら、あの時すぐに返せば良かった。
アーサーは、服の裏の隠しポケットに手を触れる。
縫い付けてある袋の無事を確認して、安堵のため息をもらす。
これだけは、どんなことがあっても死守してきた。厳重に保護している。
リディア、やっと君にこの婚姻届が返せるよ。
あの日、フレディから頼まれたんだ。
リディアに告白したいから、誰も来ないように見張っていてほしいと。
卒業式の帰りに、図書室へ来る物好きなんていないのに。
フレディとリディアくらいだろ。
緊張して洗面所に行きたくなったと言うから、フレディが戻るまで仕方なく代わりに座ってたんだ。
僕、あの独特な本の匂いが苦手なんだよね。
図書室って居心地が悪いし。
身体動かしてないと、眠くなるし。
誰も来ないだろうからと、突っ伏してひと眠りしようと思ったんだ。
まさかそのタイミングで、君が来るなんてね。
リディアが好きなのはフレディだよね?
僕でさえ気づいていたのに、フレディは納得しないし。
まぁ、いきなり婚姻届の告白の現場を目撃したら、勘違いするよね。
とにかく告白しろ!と、けしかけたけど、どうなったかな。
思わせぶりなメモを、フレディの前で書いて預けたけど。
まぁ、直接会って話せばいいか。
あそこに見えてきた2人に。
「ただいま! フレディ!リディア!
あー、なんか僕帰って来てまずかった?」