お風呂からあがってくると、部屋には頼んであったシャンパンが用意されていた。
備え付けの冷蔵庫からケーキを出す。
オーダーして先に届けてもらって、宿の人に冷蔵庫に入れておいてもらったケーキ。
黒い薔薇がたくさんあしらわれていて、それを見ためめはまた少年みたいな顔に戻る。
🖤「すごい、準備万端だね」
💚「任せてください。お祝いしよう?」
乾杯して、めめは勿体ないなぁといいながらろうそくを吹き消して早速薔薇を頬張った。
🖤「うまい!」
💚「良かった」
もう一つ食べようとして、めめは俺と薔薇を交互に見る。
🖤「阿部ちゃんのことだから、これって俺のメンカラ以外にもなんかあるんでしょ?花言葉とか」
💚「ご名答」
黒い薔薇の花言葉は「決して滅びることのない愛」。
そう教えると、めめは薔薇を一つすくって
🖤「阿部ちゃんも食べて」
💚「俺も?」
🖤「滅びない愛なんでしょ、2人で分けたい」
今日は本当にめめの表情がくるくる変わる。
さっきまではしゃいでいた少年は、今は優しくて穏やかな大人の男。
💚「じゃあ、いただきます」
口元をずっと見られているようで何だか照れくさい。
💚「ん、美味しい」
🖤「これで俺たちの愛は滅びないね」
💚「自分でやっといて何だけど、口に出されると恥ずかしいな…」
めめはそれでも嬉しそうに微笑む。
国宝級イケメンと言われる彼の特別な笑顔を独り占め。
お祝いする側なのに、すっかり俺の方が特別感に喜んでしまっている気がする。
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